帝国データバンクがこのほど発表した「人手不足解消に向けた企業の意識調査」結果(有効回答数:約1万社)によると、現在、正社員又は非正社員のいずれかが「不足」している企業は半数超にのぼるなか、人手が不足している部門・役割(複数回答)は、「生産現場に携わる従業員」(57.2%)がトップとなり、6割近くの企業で不足していた。次いで、「営業部門の従業員」(47.7%)、「高度な技術を持つ従業員」(37.0%)などが多い。
人手不足による影響(複数回答)では、「需要増加への対応が困難」が50.5%と半数を超え、最多。なかでも、五輪関連などによる旺盛な需要が続く「建設」(65.6%)や、荷動きが活発な「運輸・倉庫」(59.9%)などで高水準となった。次いで、「時間外労働の増加」(36.6%)、「新事業・新分野への展開が困難」(31.7%)、「技術・ノウハウの継承が困難」(27.5%)、「現状の事業規模の維持が困難」(27.2%)などが続いた。
自社において人手不足の解消に向けて取り組んでいること(複数回答)は、「賃金水準の引上げ」が38.1%でトップ。次いで、「職場内コミュニケーションの活性化」(36.7%)、「残業等の時間外労働の削減」(35.0%)、「業務プロセスの改善や工夫」(31.3%)が上位に挙がった。規模別では、「賃金水準の引上げ」は「中小企業」で38.9%と特に数値が高く、人材の確保や定着に向けた方法として賃上げが重要視されている様子がうかがえる。
また、「残業等の時間外労働の削減」、「休暇取得の徹底」のような労働環境に関する取組みでは、「大企業」で高い数値を示した。雇用過不足別にみると、従業員が不足している企業では「賃金水準の引上げ」、「職場内コミュニケーションの活性化」、「人事評価制度の見直し」などが多い。他方、「やりがいのある仕事を任せる」、「休暇取得の徹底」などでは、総じて人手不足感にかかわらず様々な企業で取り組んでいる様子がうかがえる。
人手不足の解消に向けて社会全体が取り組むべきこと(複数回答)は、ハローワークなどの「職業紹介機能の強化・充実」が32.6%で最多。次いで、「働き方改革の推進」(29.7%)、「社会保障制度の見直し」(26.9%)、「労働市場の流動化」(26.8%)、「通年採用の拡大」(25.5%)などが続いた。他方、「職種別採用の拡大」(9.9%)や「オファー型採用の拡大」(4.8%)といった、採用方法の多様化は少数にとどまった。
同調査結果は↓