矢野経済研究所は20日、個人向け不動産(居住用住宅)賃貸仲介市場の分析結果を公表し、国内の不動産仲介市場を調査し、主に個人向けの賃貸仲介、及び売買仲介の動向、参入企業動向、将来展望等を明らかにした。それによると、2018年の個人向け不動産(居住用住宅)賃貸仲介市場は、近年大きな変動はなく、堅調に推移していることが分かった。大手賃貸住宅事業者における都市型戦略が進んでいる。
人口流入が続く都市部における個人向け居住用賃貸物件に対する入居ニーズは拡大。IT重説が始まるなど賃貸仲介業務の電子化は進行しており、今後の業務効率化へ向けた動きには期待が高まる。IT重説とは、テレビ会議等のITを活用した、賃貸借契約を締結する際に対面で読み合わせを行う重要事項説明のこと。IT重説では、パソコンやテレビ、タブレット等の端末の画像を利用し、説明を受けたり質問を行える環境が必要となる。
不動産仲介業務においては、顧客需要を第一義としたサービス水準の向上に注力している。不動産仲介事業者は各種取次サービス内容の充実を図るといった付加価値サービスを提供するのみならず、実務的な仲介業務の業務品質を上げること、例えばWEB上で公開する物件情報の内容の充実や見せ方を工夫し、顧客にわかり易く物件情報を提供するなど、情報発信のサービス水準を上げていく。
こうした実務的な仲介業務の業務品質を上げることで、すべての顧客に対して高い品質のサービスを提供することが重要とみられている。以上、個人向け不動産(居住用住宅)賃貸仲介市場は、概ね堅調な推移が続いており、特に都市部においては増加基調を続けている。主要な賃貸仲介事業者がそれぞれ都市型戦略を実行していることから、人口の動きのある都市部を中心とした市場形成が今後も続くとみている。