災害復興、国土強靭化計画、東京五輪を契機とした都市部の再開発など、建設業界には追い風が続き、建設業者の倒産件数(全国)は2009年以降、2018年まで10年連続減少し、倒産件数全体の押下げに大きく影響を与えている。しかし、底堅い受注動向が見込まれるなかで、人手不足の影響による労務費・外注費の増加、建材費の上昇などを受け、採算悪化を心配される状況も続いている。
帝国データバンクがこのほど発表した「建設業者の倒産動向調査」結果によると、2019年上半期(1月~6月)の建設業者の倒産件数は685件(前年同期比4.3%減)となり、3年連続で前年同期を下回った。2010年以降、上半期では2016 年を除き、すべての期で前年同期を下回っており、年ベースでみても10年間にわたって減少トレンドが続いている。また、2019年上半期は、2000年以降の各半期でみても最少を記録した。
地域別にみると、「関東」が228 件(前年同期比5.1%増)で最多。以下、「近畿」(157 件、前年同期比25.2%減)、「中部」(91 件、同25.4%減)と続いた。また、9地域中4地域で前年同期を下回った。なかでも「北陸」、「中部」、「近畿」の3地域は前年同期比で二ケタの減少。対して、「中国」、「四国」、「九州」では、2018年上半期に半期ベースで過去最少の倒産件数を記録、その反動もあり増加に転じたものとみられる。
負債規模別にみると、「5000万円未満」が391件(前年同期比7.3%減)で最も多く、次いで、「1億~5億円未満」(157件、前年同期比9.8%増)、「5000万円~1億円未満」(114件、同14.3%減)と続いた。50億円以上の大型倒産は発生せず、抑制された傾向が続いているが、2010年以降負債規模を問わず続いてきた倒産減少トレンドのなかで、中規模レベルの倒産が底を打ち、増加に転じている。
業歴別にみると、「30年以上」が197件(前年同期比12.8%減)で最多。「20~30年未満」(149件、前年同期比1.4%増)、「5~10年未満」(101件、同5.2%増)と続いた。2015年までは、すべての業歴で前年を下回る年も見受けられたが、近年は業歴ごとで差が生じている。2019年上半期においても、業歴の長い企業群の倒産件数は引き続き減少傾向にあるものの、特に10年未満の業歴の浅い企業では倒産件数は増加の兆しをみせている。
同調査結果は↓