厚生労働省は、労使交渉の実情を把握するため、民間主要企業の春季賃上げ要求・妥結状況を毎年、集計しているが、このほど2019年の集計結果をとりまとめ公表した。集計対象は、資本金10億円以上かつ従業員1000人以上の労働組合のある企業のうち、妥結額(定期昇給込みの賃上げ額)などを継続的に把握できた341社。集計結果によると、2019年の平均妥結額は6790円で、前年(7033円)に比べ243円の減少となった。
また、現行ベース(交渉前の平均賃金)に対する賃上げ率は2.18%で、前年(2.26%)に比べ0.08ポイントの減少。賃上げ率は2年ぶりの前年比マイナスとなったが、2%台が6年続いている。具体的な要求額を把握できた325社の平均要求額は8898円で、前年に比べ207円の減少。妥結時期のピークは前年同様「3月中旬」が最多の59.6%、「3月下旬」17.0%、「4月上旬」8.5%で、4月上旬までに全体の87.1%と約9割が妥結している。
民間主要企業の賃上げ要求・妥結状況をみると、賃上げ率が最も高いのが「機械」(24社)の2.61%、次いで「運輸」(7社)の2.55%、「サービス」(17社)の2.47%と続く。妥結額では、「機械」の8003円がトップ、次いで、「化学」(36社)と「造船」(8社)が同額の7926円、「運輸」の7592円と続く。また、要求額と妥結額が一致または上回るいわゆる満額回答は、昨年に引き続き1業種もなかった。
春季賃上げ状況の推移をみると、1965年から1975年までは10%を超える賃上げが続き、1974年には32.9%の賃上げ率を記録。その後は一ケタの賃上げが続き、2002年に2%を切り1%台で推移も、14年に13年ぶりに2%台を回復。ここ5年間は、15年2.38%、16年2.14%、17年は2.11%、18年2.26%、19年2.18と推移。現行賃金ベース31万1255円に妥結額6790円を加えた31万8045円が2019年度のベースになる。
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