3月期決算上場2316社の約6割が女性役員比率ゼロ

 東京商工リサーチがこのほど発表した「女性役員比率調査」結果によると、上場企業2316社の2019年3月期決算の役員総数は2万6664人で、このうち、女性役員は1319人だった。役員総数に占める女性役員比率は4.9%で、前年同期の3.8%から1.1ポイント上昇。女性役員が一人もいない上場企業は1336社(構成比57.6%)と約6割を占めたが、前年同期から社数は186社減少し、女性の役員登用への動きは少しずつ進んでいる。

 産業別の女性役員比率をみると、最も高いのは[金融・保険業]の7.4%(前年同期5.8%)、次いで、「電気・ガス業」7.2%(同5.1%)、「水産・農林・鉱業」6.4%(同3.1%)、「サービス業6.3%」(同6.0%)、「不動産業」5.3%(同4.7%)と続く。女性役員比率が最高だった「金融・保険業」は、役員総数2105人(前年同期2147人)のうち、女性役員は156人(同126人)を占めた。

 産業別の女性役員ゼロは、最高が「建設業」の64.4%。女性役員比率は3.3%にとどまり、他産業に比べ女性登用に厚い壁が立ちはだかっている。以下、「卸売業」62.9%、「製造業」61.9%の順。この3産業は女性役員ゼロの企業が6割以上で、女性の役員登用に課題を残している。一方、最も低かったのは「電気・ガス業」の20.0%。業務内容は公共性が高いうえに女性の進出機会の間口が広く、女性役員の登用が他産業より高くなっているようだ。

 女性役員比率を企業ごとにみると、最高は札証アンビシャス上場の「光ハイツ・ヴェラス」の57.1%。同社は北海道で老人介護ホームを運営し、役員総数7人のうち、半数を超える4人が女性。2位は、自然化粧品の開発・製造・販売を手がけるJASDAQ上場の「ハーバー研究所」(役員総数8人、女性役員4人)、スキンケアなど高級化粧品の製造販売を手がける東証1部の「シーボン」(同10人、同5人)が各50.0%だった。

 2013年4月、政府は経済界に「役員(取締役、会計参与、監査役若しくは執行役)に1人は女性を登用する」ことを要請。女性が企業の意思決定に関わることで、多様な価値観を企業経営に反映し、こうした価値観を受容する組織はイノベーションが促進されるとの見解を示した。だが、上記のように、2019年3月期決算の上場企業では、女性役員比率は5%に満たず、約6割の企業で女性役員がまだゼロとなっている。

 同調査結果は↓

http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190801_03.html