役員報酬1億円以上開示の上場企業は280社、570人

 東京商工リサーチがこのほど発表した「2019年3月期の役員報酬1億円開示企業調査」結果によると、上場企業の2019年3月期決算で1億円以上の役員報酬を開示したのは280社、人数は570人だった。社数は前年同期を40社、人数は32人それぞれ上回った。この結果、2017年3月期から3年連続で社数・人数の最多記録を更新した。2018年3月期から2年連続で登場した役員は404人、初登場は166人だった。

 2019年3月期の役員報酬の最高額は、ソフトバンクグループの「ロナルド・フィッシャー副会長」の32億6600万円で、前年同期(20億1500万円)の1.6倍に増加。報酬内訳は、基本報酬が3億3900万円だが、株式報酬が29億2400万円(未確定分を含む)により報酬額を押し上げた。2位は、新日本建設の「金綱一男会長」で23億4300万円(前年同期開示なし)で、役員報酬の大半を退職慰労金で占めた。

 3位は、ソフトバンクグループの「マルセロ・クラウレ副社長COO」で18億200万円(前年同期13億8200万円)。ロナルド・フィッシャー副会長と違い、基本報酬が主体となっている。4位は、武田薬品工業の「クリストフウェバー社長」で17億5800万円(同12億1,700万円)。5位は、日産自動車の「カルロス ゴーン元会長」で、16億5200万円(同28億6900万円)で、このうち、12億3700万円は支払繰延べとなっている。

 日本人役員では、役員退職慰労金(引当金繰入額を含む)で多額の報酬を得るケースがある。一方、外国人役員は賞与や業績連動報酬のほか、ストックオプションなど非金銭報酬で多額の報酬を得るケースが目立つ。ただ、最近は退職慰労金制度を廃止する企業も増え、報酬体系は業績連動などの報酬に移行しつつある。報酬額10億円以上は8人(前年同期9人)、2億円以上10億円未満は139人(同118人)だった。

 個別開示した280社のうち、最多は「三菱電機」の21人(前年同期22人)。2014年3月期から6年連続で開示人数のトップを守っている。2位は、「日立製作所」の17人(同18人)。3位は、「ファナック」の10人(同10人)だった。また、開示人数別では、最多は「1人」の161社(構成比57.5%)で6割近くを占め、「2人」が63社(同22.5%)、「3人」が23社(同8.2%)と続く。「10人以上」は3社だった。

 同調査結果は↓

http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190719_01.html