2019年度の決定初任給(2019年4月に確定した初任給)の水準は、大学卒(一律)で20万8826円、高校卒(一律)で16万8617円となったことが、産労総合研究所が上場企業等を対象に実施した「2019年度決定初任給調査」結果(有効回答数336社)で分かった。2019年4月入社者の初任給を引き上げた企業は50.6%と、前年度から9.8ポイントもの増加となり、1998年以来、20年ぶりに「引き上げた」が「据え置いた」(48.2%)を上回った。
ほぼ5割を占めた引き上げた企業の内訳をみると、全学歴を対象に引き上げた企業は84.7%、一部学歴を対象に引き上げた企業は13.5%だった。引き下げた企業はなかった。企業規模別に「引き上げた」企業の割合をみると、「1000人以上」企業が69.0%、「300~999人」企業が49.6%、「299人以下」企業が39.7%と、「1000人以上」企業は「299人以下」企業の2倍ほどとなっている。
初任給を引き上げた理由(複数回答)は、最多が「人材を確保するため」で58.8%、「在籍者のベースアップがあったため」が47.6%。「人材を確保するため」は1000人以上企業と300~999人企業では6割、299人以下企業でも5割強と、採用の早期化や深刻な人手不足が高まるなか、初任給額をアピールポイントとしている企業も多いようだ。 一方、据え置いた理由(同)は、「現在の水準でも十分採用できるため」が45.1%で最多だった。
2019年度の初任給額をみると、職種やコースによる格差がなく、一律に初任給を決定している企業の場合、大学卒は20万8826円、高校卒は16万8617円となっている。一方で、職種やコース(総合職と一般職、広域勤務と地域限定勤務など)で初任給額に格差を設けている場合、大学卒の「最高額」は21万6942円、「最低額」は19万3333円。高校卒では「最高額」は17万9591円、「最低額」は16万7794円だった。
なお、4月入社の新卒入社者の場合、入社年度の夏季賞与の支給日には在籍しているものの、算定期間としてはわずかか、あるいは算定期間を過ぎた後の入社という場合が多いが、その中で、何らかの形で夏季賞与を「支給する」企業は88.1%、「支給しない」企業は4.8%。支給額の平均をみると、「大学卒」8万7636円、「高校卒」6万9064円。支給額の分布をみると、最も多いのが「5~10万円」(大学卒44.2%、高校卒51.9%)だった。
同調査結果は↓