東京都のBCP策定企業は19.5%と2割を下回る

 近年は豪雨による洪水リスクに対する警戒感も高まっており、特に企業が集中する東京では、ひとたびトラブルに見舞われると交通網が麻痺するなど、インフラの脆弱性がたびたび指摘されている。帝国データバンクが発表した「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(東京都・2019年)」結果(有効回答数2073社)によると、東京都の企業が自社においてBCPを「策定している」との回答は19.5%だった。

 BCPを策定している東京都の企業は、1年前の調査(20.2%)と比べて0.7ポイント減少し、策定企業は2割を下回った。「現在、策定中 」(6.8%)、「策定を検討している」(20.0%)と合わせた「策定意向あり」は46.3%と半数に満たず、1年前の調査時の47.6%と比べると1.3ポイント減少している。南海トラフ地震への備えの意識が高いとみられる 高知県(72.5%)と比べると26.2ポイントもの開きがある。

 BCPを策定している企業を業界別にみると、「金融」が最も高く32.6%、次いで、「運輸・倉庫」(25.8%)、「製造」(24.2%)と続き、最も低いのは「農林水産」(0.0%)だった。また、従業員数別では、従業員数が「5人以下」の企業でBCPを策定している割合は6.3%と、「1000人超」の企業(48.3%)を42.0ポイント下回るなど 、業界や従業員規模 により策定状況に大きな差があることが明らかになった。

 事業継続計画(BCP)について「策定意向あり」とする企業が事業の継続が困難になると想定しているリスク(複数回答)は、地震や風水害、噴火などの「自然災害」が71.1%でトップ、「情報セキュリティ上のリスク」(42.9%)、「自社業務管理システムの不具合・故障」(37.2%)、「情報漏えいやコンプライアンス違反の発生」(34.8%)、「設備の故障」(33.7%)などが続いた。

 BCPについて、「策定していない」企業のその理由(複数回答)は、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」が39.1%で最も多かった。また、「策定する人材を確保できない」(34.4%)、「策定する時間を確保できない」(28.2%)と、人材や時間不足を挙げる声が上位となった。他方、「必要性を感じない」と回答する企業も24.6%あり、「経営戦略上で優先順位が高いのはBCP策定ではない」(運輸・倉庫)といった声も聞かれた。

 同調査結果は↓

http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/s190701_98.pdf