リクルートワークス研究所がこのほど発表した「中途採用実態調査(2018年度実績、正規社員)」結果(有効回答数4413社)によると、2018年度の中途採用実績は、1社当たり中途採用人数が2017年度の1.46人から2018年度は1.61人と前年度比+10.5%と、3年連続の増加となった。2016年度から2017年度にかけての+11.0%増加と同程度のペースで上昇しており、中途採用需要は引き続き増加している。
従業員規模別でみると、全ての従業員規模において中途採用実績は増加。中でも従業員規模「5~299人」企業で前年度比+12.1%と増加率が大きかった。中小企業を中心に中途採用需要は増加。背景に中小企業の新卒採用難がある。業種別でみると、「運輸業」(前年度比+37.8%)、「情報通信業」(同+33.2%)で大きく伸びた。人手不足などに伴う待遇改善が影響したものとみている。また「建設業」も前年度比+28.4%と大きく伸びた。
採用した人員の年齢層をみると、「10代・20代」(52.0%)、「30代」(57.0%)、「40代」(43.8%)といった年齢層の採用は多くの企業が行っている。一方で、「50代」(22.8%)、「60代前半」(4.9%)、「60代後半以上」(1.6%)については低い水準にとどまっている。40代、50代の採用割合は昨年度と比較してそれぞれ、4.4ポイント、3.7ポイントと大きめに上昇。人手不足を背景に企業が転職年齢の上限を引き上げている。
下半期の中途採用活動実施割合をみると、「実施した・実施中」の企業の割合は76.3%となり、5年連続で増加し、2013年度以降で最高となった。「実施した・実施中」の企業の割合を業種別にみると、「医療・福祉」(87.6%)、「機械器具製造業」(86.0%)、「運輸業」(83.3%)において割合が高い。背景として、特に機械器具製造業では自動車や電気機器業を中心に即戦力を求める動きが広がっていることがあるようだ。
2018年度下半期の中途採用において、必要な人数を「確保できなかった」と回答した企業は49.9%と、前年から横ばいの結果となった。過去5年の同時期と比べて最も高く、人員確保が困難な状況が継続している。「確保できた」企業の割合と「確保できなかった」企業の割合の差(「中途採用確保D.I.」)は、全体で0.0ポイントと前年(▲0.4ポイント)に引き続き低く、2013年度以降で2番目の低水準となった。
多くの企業が必要な人数を確保できない状況が継続している。「中途採用確保D.I.」を従業員規模別にみると、「1000~4999人規模」と「5000人以上規模」の企業において、それぞれ▲3.0%ポイント、▲3.3%ポイントと低い。一般的に大手企業は採用力が高いが、必要な人数を確保できていない。業種別にみると、「飲食店・宿泊業」(▲26.2%ポイント)、「運輸業」(▲25.0%ポイント)において確保できなかった企業が多い。
同調査結果は↓
https://www.works-i.com/research/works-report/item/midcareer2019.pdf