2019年度に「増収」を見込む中小企業は30.3%に減少

 東京商工リサーチが24日に発表した「2019年度業績見通しに関するアンケート調査」結果(有効回答数6846社)によると、2019年度に「増収」を見込む中小企業(資本金1億円未満)は30.3%で、前年度より6.3ポイント下落した。また、大企業(同1億円以上)も37.1%で、前年度より6.9ポイント下落した。2012年12月から始まった景気拡大が岐路に立つなか、企業業績の先行きは悪化が鮮明となった。

 増収理由(複数回答)は、「国内法人向け販売の増加」が76.7%で最多、次いで、「国内個人向け販売の増加」の20.3%。「海外向け販売の増加」は、「ASEAN向け」が4.1%で最多、次いで、「中国向け」が3.6%だった。ブレグジットで揺れる「EU向け」は1.8%にとどまった。「その他」では、「外国人留学生の増加」(情報通信業、資本金1億円未満)、「M&A」(製造業、資本金1億円以上)などの声があった。

 減収理由(複数回答)では、「国内法人向け販売の減少」が57.8%で最多、次いで、「米中貿易摩擦による影響」の22.0%、「国内個人向け販売の減少」の20.5%、「中国の景気減速」の17.9%と続く。米中貿易摩擦など、中国の景気を懸念する声が多かった。一方、「イギリスのEU離脱による影響」は2.0%にとどまり、混迷を極めるブレグジットの行方は、さほど業績に大きな影響を与えることはないとみているようだ。

 回答企業のうち、「増益」は26.5%、「前年度並み」は47.4%、「減益」は26.1%。昨年度のアンケート調査では、「増益」が31.3%、「前年度並み」が46.2%、「減益」が22.5%で、売上高の見通しと同じように、昨年度よりも厳しい見通しが増えた。2019年度のアンケートを規模別でみると、大企業は851社のうち、244社(構成比28.7%)が今年度の「増益」を予想した一方、中小企業は5951社中1559社(同26.2%)にとどまった。

 増益予想の理由(複数回答)は、「売上高の増加に伴うもの」が84.1%で最も多く、圧倒的に規模拡大が占めた。次いで、「仕入・外注先の見直しによる粗利改善」が19.4%、「内製化によるコスト削減」が12.1%(217社)と、コストダウンを要因とした回答が続く。政府が賃上げを要請するなか、「人件費抑制」は6.4%で、規模別では、大企業の5.3%に対して、中小企業は6.5%と、やや中小企業が多かった。

 減益予想の理由(複数回答)では、「売上高の減少に伴うもの」が69.9%で最多、約7割を占めた。次いで、「原材料価格の上昇」の45.5%、「一人あたり賃金の上昇」の39.8%と続く。昨年度のアンケート調査では、「売上高の減少に伴うもの」が62.5%、「原材料価格の上昇」が43.1%、「一人あたり賃金の上昇」が36.7%だった。売上高の減少見通しが強まり、原材料や人件費などのコスト負担がネガティブな業績見通しにつながっているようだ。

 同調査結果は↓

http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190624_01.html