PwCグローバルネットワークのStrategy&は、世界の上場企業における時価総額の上位2500社を対象にCEO承継調査を過去19年間実施している。今回の調査では、長期在任CEOからの承継後の課題について分析。CEOの交代率は、調査開始以降最も高い17.5%(438社)だった。うち3.6%が解任による交代で、その理由は「倫理的不祥事」によるものが39%と最多、「財務業績」(35%)、「取締役会での紛争」(13%)を上回った。
2018年に就任したCEOのうち女性の割合は4.9%で、過去最高値だった2017年の6.0%に比べ低くなったが、調査を開始した2004年の2.4%からは2倍以上となり、上昇傾向にある。今回最も女性CEOの就任率が高かった国は「その他新興国(エジプト、メキシコ、トルコ、ベトナム等)」(10.3%)、次いで「ブラジル」(8.8%)、「ロシア」(8.8%)、「インド」(8.8%)、そして「中国」(7.7%)だった。日本は0.0%。
CEO在任期間の中央値は5.2年である一方、全体のうち19%が10年以上在任していた。地域別にみると、長期在任CEOとなる割合は(2004~2018年)、「米国、カナダ」が30%で最も高く、次いで「西欧」(19%)と続き、「日本」は9%。長期在任CEOの後継者は、前任者に比べて在職期間が短く、業績が低迷し解任に至る率も高い結果となった。また、約半数の後継者が、前任者に比べパフォーマンスのレベルが低下していた。
日本企業に関しては、いくつかの顕著な傾向が見られた。2018年、新任CEOの中央年齢は60歳と前回の調査より1歳下がったが、世界平均の53歳と比べて7歳高く、他の地域に比べて最も高くなっている。一方、多くの調査項目で、日本の結果は世界で最低値となっている。「他企業からの招聘」が3%(世界平均17%)、「外国人のCEO就任」はない(0%、世界平均15%)。
さらに、「他企業での職務経験」は18%(世界平均72%)、「他企業でのCEO経験」は8%(世界平均26%)、「MBA保有率」は0%(世界平均33%)、「新任女性CEO」は0%(世界平均4.9%)だった。日本におけるStrategy&のリーダーである三井健次氏は、主に日本企業のCEOの特徴的なデータについて、「日本企業はグローバルに比べて多様性が低いということが調査結果から分かる」と述べている。
同調査結果は↓
https://www.strategyand.pwc.com/media/file/2018_CEO-Data-Media-release-JP.pdf