経済産業省では、2014年4月の消費税率8%引上げを踏まえ、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、公正取引委員会と連携して、(1)監視・取締り対応、(2)広報・相談対応を一体的に実施し、転嫁拒否行為の未然防止及び迅速な是正を行っているが、このほど、2018年3月末までの主な転嫁対策の取組状況を取りまとめ公表した。監視・取締り対応では、まず、消費税の転嫁拒否等に関する大規模な調査を実施している。
2018年度も引き続き、公正取引委員会と合同で、悉皆的な書面調査を実施。これらによって把握した情報等を元に、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法に基づき、取引の売手側である中小企業・小規模事業者全体に対し、転嫁拒否行為を受けていないか情報収集するための書面調査の実施など、転嫁拒否行為に対して迅速かつ厳正に対処している。
次に、特定事業者(買手側)の転嫁拒否行為に対する監視・取締りを実施。2013年10月から2019年3月末までの累計(公正取引委員会との合算)で、指導を4661件(うち大規模小売事業者に対するものが170件)、措置請求を13件、勧告を48件(同11件)実施した。措置請求は中小企業庁、勧告は公正取引委員会が実施するもので、これまでに措置請求を行った13件は、公正取引委員会により全て勧告が行われている。
勧告及び指導件数を行為類型別にみると、「買いたたき」が4312件(うち勧告48件)で全体の89%を占めて最多、次いで、「本体価格での交渉の拒否」260件、「減額」198件(同4件)、「役務利用・利益提供の要請」72件。例えば、ジャパンビバレッジホールディングスは、自動販売機の設置場所提供の事業者の一部に対し、消費税率の引上げ分を上乗せせずに販売手数料を据え置いて支払った「買いたたき」として今年3月20日に勧告されている。
また、勧告及び指導件数を業種別にみると、「製造業」が1055件(うち勧告1件)で全体の約22%を占めて最多、次いで、「その他(事業サービス業や娯楽業等)」772件(同13件)、「建設業」688件(同4件)、「情報通信業」616件(同6件)、「小売業」383件(同11件)、「技術サービス業(広告・建築設計業等)」328件、「卸売業」307件(同1件)、「運輸業(道路貨物運送業等)」267件(同1件)などとなっている。
なお、消費税の転嫁状況を定期的に把握するため、モニタリング調査を実施しているが、2019年2月の書面調査結果(有効回答数8897者)では、転嫁状況について、事業者間取引では88.1%、消費者向け取引では77.4%の事業者が「全て転嫁できている」と回答。また、「全く転嫁できていない」と答えた事業者は、事業者間取引では2.2%、消費者向け取引では3.7%だった。
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