上場メーカーの想定為替レートは1ドル110円が6割

 東京商工リサーチがこのほど発表した「東証1部、2部上場メーカー128社の2020年3月期決算想定為替レート調査」結果によると、東証1部、2部上場のメーカー128社は、2020年3月期決算の期初想定為替レートを1ドル=110円に設定した企業が約6割(構成比58.5%)を占めたことが分かった。次いで、105円が25社(同19.5%)、108円が15社(同11.7%)と続いた。

 想定レートの対ドル最高値は100円、最安値は113円だった。また、1年前の2019年3月期決算の期初の想定為替レートは「1ドル=105円」の企業の構成比が66.4%で、最も多かった。だが、同期の円相場は1ドル=105円前後でスタートし、期中に114円超えの水準まで達するなど円安傾向が続いた。このため、2020年3月期は1ドル=105円から110円に変更するメーカーが目立った。

 一方、米中摩擦の余波が日本経済に影響を及ぼすことも懸念され、6月4日の東京外国為替市場は約5ヵ月ぶりに1ドル=107円台を付けた。今後の展開次第では世界経済の減速感が強まり、ドル売り円買いによる「円高」シフトに拍車がかかる恐れもある。為替変動は輸出産業の収益を大きく左右するが、一方で食糧、原油など幅広い輸入産品の価格にも影響を及ぼすため、輸出産業だけでなく今後は内需型企業でも注目している。

 1年前の期初想定為替レートとの比較は、「105円→110円」が51社(構成比39.8%)と約4割にのぼった。次いで「105円→105円」が18社(同14.0%)、「110円→110円」が14社(同10.9%)と、レートを据え置いた企業が続いた。1年前より「円安」設定が89社(構成比69.5%)と約7割にのぼった。次いで「変更なし」が37社(同28.9%)、「円高」設定は2社(同1.5%)のみだった。

 なお、上場メーカー128社のうち、ユーロの想定為替レートが判明したのは83社。このうち2020年3月期決算の業績見通しで期初想定レートは、1ユーロ=125円の54社(構成比65.0%)が最多。次いで、120円が9社、130円が7社と続き、想定レートの対ユーロ最高値は110円、最安値は130円だった。1年前の調査では1ユーロ=130円が最多(構成比63.8%)だったが、対ユーロでは円高予想を見込んでいる企業が多いことが分かった。

 同調査結果は↓

http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190610_01.html