17年度新卒採用支援市場規模は7.3%増の1185億円

 矢野経済研究所が発表した「新卒採用支援市場に関する調査」結果によると、2017年度の新卒採用支援市場規模は、前年度比7.3%増の1185億円だった。企業の新卒採用意欲は依然として高く、学生の売り手市場はより一層強まっている。昨今の学生の就職活動においては、より認知度の高い大手企業や有名企業に就職希望が集中する傾向が高く、中小企業や地方企業の多くは、より厳しい新卒採用活動を強いられている。

 大手企業の採用部門では、インターンシップの準備と対応、本選考活動、採用した新入社員の受入れなどに加え、学生への早期アプローチや繋ぎ止めの施策など、全体的に採用活動に関連する業務は増加し、その期間も長期化。さらに、就職情報サイトや合同企業説明会からの膨大な学生のエントリー登録の集中により、学生と企業間の相互理解不足などから起こるミスマッチや内定辞退も多く、採用ターゲットとなる学生の選別にも苦慮している。

 一方、中小企業や地方企業の多くでは、就職情報サイトを介しても、概して学生の応募が集まらないため、新卒紹介サービスの利用や中小企業向けの採用直結型イベントへの参加といった動きも活発化しており、就職情報サイトに依存せず、効果の見込める効率のよい新卒採用支援サービスの需要はより一層高まっている。​こうした求人企業各社の課題解決に向けて、新卒採用における採用手法やサービスに対する需要の多様化が進展している。

​ 注目されているのは「ダイレクトリクルーティングサービス」。自社の採用要件を満たす学生に直接的にアプローチ・コンタクトできる採用手法で、また自社に直接エントリー登録している学生の母集団とは異なる就職活動層への働きかけや、学生との相互理解につながる採用方法だ。ここ1~2年において急速に拡大しており、就職活動・採用選考手法の主流である就職情報サイトや新卒紹介サービスに並ぶ手法になりつつある。

 2018年度の新卒採用支援市場規模は前年度比6.8%増の1266億円の見込み、2019年度は同7.0%増の1354億円を予測。​学生の売り手市場のなか、採用活動の効率化・省力化に対する需要はより一層強まっていく。また、学生との相互理解の深耕によるミスマッチの軽減や内定辞退の回避、早期から学生の囲込みなど、様々な課題に対する求人企業の需要も多様化しているため、今後も新卒採用支援市場は堅調に推移するとみている。

 同調査結果の概要は↓

https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2122