帝国データバンクがこのほど発表した「日本企業の中国進出動向調査」結果によると、中国に進出している日本企業は、2019年5月時点で1万3685社判明した。2016年の調査時点から249社減少したほか、過去の調査で最も進出社数が多かった2012年(1万4394社)からは709社減少した。新たに中国に拠点を設けたことが判明した企業では、小売業などで、日本市場で培ったノウハウを中国市場へ展開する企業がみられた。
また、既に進出している企業の中でも、物流の増加に伴う倉庫などの設備増強や、中国市場の成長を見越した営業所の開設などを積極的に進める企業も多かった。他方、中国から事業を撤退した企業には、中国経済の成長に伴う人件費の上昇、為替安などによるコスト増により採算性が悪化し、国内生産への切替えや、タイなどASEAN諸国へ生産設備を移転させたケースが多かった。
業種別にみると、最も多かったのは「製造業」の5695社(構成比41.6%)。以下、「卸売業」(4495社、同32.8%)、「サービス業」(1689社、同12.3%)、「小売業」(472社、同3.4%)と続いた。また、上位4業種ではいずれも2016年から進出社数が減少。なかでも2016年に503社へ増加した「小売業」は6.2%減少し、減少幅は4業種(製造・卸・小売・サービス)中で最大となっている。
他方、物流を担う「運輸・通信業」(424社、構成比3.1%)は、2016年から1.2%増加。「越境EC」など中国国内での通信販売市場の拡大を背景に存在感が増した。「金融・保険業」(379社、同2.8%)は、金融機関のほか、中国近隣の事業を統括する持株会社の進出などで、2016年から約1割増加。「建設業」(315社、同2.3%)、「不動産業」(171社、同1.2%)の2業種も、2016年から進出社数を伸ばした。
年商規模別にみると、最も多かったのは年商「10~100億円未満」の6066社(構成比44.3%)。社数は2016年から0.1%の微増となり、全体の4割超を占めた。また、年商10億円を境に、中堅・中小規模になるほど2016年から減少したのに対し、年商が10億円以上で規模が大きくなるにつれ、進出社数が増加する傾向がみられ、企業規模によって対中進出への対応が分かれた。
同調査結果は↓