副業・兼業、「条件付き容認」も含め計50%が容認

 働き方改革の一環で副業・兼業への関心が高まっている。パーソル総合研究所が企業の人事担当者1000名及び働く個人3569名を対象に実施した「副業・兼業に関する調査」結果によると、企業における副業・兼業の容認状況は、13.9%が「全面的に認めている(全面容認)」、36.1%が「企業が設定した条件をクリアした場合に認めている(条件付き容認)」となり、合わせて全体の50%が容認していることが分かった。

 一方で、残りの50%は「全面的に禁止している(全面禁止)」と回答し、さらにそのうちの7割(70.9%)は「今後も全面的に禁止していく」意向を示している。2.3%は「奨励、推進していく予定」、26.8%は「奨励、推進はしないが、希望すれば認めていく予定」。副業・兼業がさかんに報じられ、社会的に推進の論調が多く見られるなか、実際の企業現場では推進に舵を切る企業と禁止を貫く企業とがちょうど半分ずつに分かれる状況となっている。

 容認企業の人事担当者に、副業・兼業容認でどのような効果があったのかを聞いた結果、「社員の収入補填」(63.5%)が最も多かったものの、「働き方改革の促進」(59.1%)や「社員の社外での人脈拡大」(52.2%)、「新規事業の創発(イノベーションの拡大)」(44.7%)、「社員のモチベーションの向上」(50.3%)、「優秀な人材の定着」(50.9%)といった企業にとってもメリットとなる効果が一定みられる。

 現在、副業・兼業を全面禁止している企業のうち7割が、今後も引き続き全面禁止という方針を表明しているが、その理由としては、「従業員の過重労働につながるから」(49.2%)、「自社の業務に専念してもらいたいから」(47.0%)、「疲労による業務効率の低下が懸念されるから」(43.6%)が特に多く、次いで「情報漏洩のリスクがあるから」(24.2%)、「労務管理等の事務管理が煩雑になるから」(19.6%)が挙がっている。

 今回の調査では、実際に副業・兼業を容認レベルに制限がないほうが、デメリット発生率が高まり、さらに、容認レベル別に副業者の割合を見たところ、全面禁止の企業において5.5%が隠れて副業していることも分かった。こうした隠れ副業者は、公然と行う副業者以上にリスクは大きくなる。また一方で、副業者のフォローを行う企業のほうが、副業・兼業に対するメリットを強く感じていることも調査から明らかになっている。

 企業によるフォローとは、具体的に「会社による副業の労働時間の把握」や「副業のやり方などについてのアドバイス」などであり、これらのフォローが副業者の本業の会社に対するロイヤリティや、仕事に対するモチベーション、継続就業意識に影響を与えている。今回の調査結果を踏まえると、副業・兼業は条件付きで容認し、容認後もフォローを行うという運用の在り方が、企業にとってもメリットを最大化できる可能性が高いとみられている。

 同調査結果は↓

https://rc.persol-group.co.jp/column-report/201905210001.html