労務行政研究所が東証一部上場企業を対象に実施した「新入社員の初任給調査」結果速報(有効回答数241社)によると、2019年度の初任給を前年度から「全学歴引上げ」と回答した企業は35.7%と、昨18年度速報集計時の39.7%から4.0ポイント低下した。産業別にみると、製造業は46.9%の企業が引き上げたのに対し、非製造業は22.5%と2割台前半にとどまり、24.4ポイントの差が見られた。
初任給引上げ率の推移をみると、リーマンショックの影響を受け世界的不況に陥った2009年度は、前年度の32.7%から大きく低下し6.4%となり、13年までは1割未満の低い割合が続いた。14年度は、輸出産業を中心とする企業業績の回復、デフレ脱却に向けた賃上げの政労使合意などを背景に23.2%と、13年度の4.2%から19.0ポイント上昇。賃上げ基調が続いた15年度はさらに上昇して39.9%となった。
さらに、16年度は33.9%、17年度は29.4%と、引上げ率は30%前後だったが、18年度は再び大きく上昇し、39.7%となった。19年度は35.7%と若干低下し、16年度をやや上回る引上げ率となっている。また、全産業で見た学歴別の初任給水準は、「大学卒(事務・技術)一律」21万2304円、「大学院卒修士」22万9951円、「短大卒(事務)」18万2184円、「高校卒(事務・技術)一律」17万505円となった。
同一企業における前年度初任給と比較した上昇率は、「大学卒(事務・技術)一律」0.7%、「大学院卒修士」0.7%、「短大卒(事務)」0.8%、「高校卒(事務・技術)一律」0.9%。「大学卒(事務・技術)一律」では、「引上げ」が42.1%となっている。引き上げた場合の上昇額は「1000円台」が44.0%で多く、「2000円台」(13.3%)と合わせると1000~2000円台が過半数を占める。引き上げた場合の平均上昇額は3511円だった。
同調査結果は↓