2019年度も増加傾向が見込まれる従業員研修費用

 東京商工会議所が、同所研修講座の利用企業を対象に実施した「従業員研修の実施状況に関する調査」結果(有効回答数300社)によると、2018年度研修費用は、前年度に比べて「増加」(42.7%)が最も多く、半数近くの企業が研修費用を増加させた。「変わらない」は10.3%、「減少」は4.3%。増加の理由(複数回答)は、「人材育成への経営者の関心が高まったため」(46.9%)、「研修を受けさせる対象者層が広がったため」(35.9%)となった。

 2019年度研修予算は、前年度に比べて、「変わらない」(44.3%)、「増加」(31.0%)を合わせて75.3%となり、「減少」は6.3%とわずかだった。2019年度も研修費用の増加傾向が見込まれる。増加が見込まれる理由(複数回答)は、2018年度の研修費用の増加理由と同様に、「人材育成への経営者の関心が高まっているため」(51.6%)、「研修を受けさせる対象者層を広げるため」(45.2%)の順に多い。

 社外研修が研修全体に占める費用の割合は、「10%未満」(24.0%)が最も多い一方で、「70%以上~100%未満」(21.7%)がそれに続く。規模の小さな企業ほど社外研修にかける費用割合が高くなる傾向にある。また、社外研修を利用する理由(複数回答)は、「幅広い内容から受講者に合った研修を選定できるため」が87.7%と最多で、特に従業員規模の小さな企業では、社内では用意が難しい内容の研修を社外研修で補っていることが推測される。

 社外研修受講前に行っている取組み(複数回答)は、「受講者への研修の目的や意図の説明」(48.7%)が最多だが、「特に何もしていない」も40.0%にのぼった。受講後の取組み(複数回答)としては、多い順に「受講者から上司への報告(書面)」(64.3%)、「同僚・部署内での情報共有」(42.0%)。受講後については「特に何もしていない」は8.3%と少数であり、9割を超える企業で何らかの受講報告や、情報共有を行っていることが分かる。

 今後重点的に育成したい階層(複数回答)は、「中堅社員(社会人経験4年~10年)」(72.7%)、「管理職候補」(57.3%)、「若手社員(社会人経験2~3年)」(53.3%)が上位となっている。階層ごとに身につけさせたいスキル(複数回答)は、「中堅社員(社会人経験4年~10年)」以上の全階層で「部下・後輩の指導・育成力」を半数以上が選択、「課長」を選んだ企業では、92.4%が選択している。

 同調査結果は↓

https://www.tokyo-cci.or.jp/kenshu/file/18tantousya.pdf