19年度「増収増益」見込み、前年度比4.5ポイント減

 帝国データバンクがこのほど発表した「2019年度の業績見通しに関する企業の意識調査」結果(有効回答数9712社)によると、同年度(2019年4月決算~2020年3月決算)の業績見通し(売上高及び経常利益)は、「増収増益(見込み)」と回答した企業は24.8%となり、前回調査(2018年3月)の2018年度見通しから4.5ポイント減少した。一方、「減収減益(見込み)」は同5.1ポイント増加の21.8%となった。

 前回調査より「増収」(前年比5.5ポイント減)を見込む企業が減少しているなど、2019年度の業績はやや厳しい見方となっている。また、2019年度の業績見通しを従業員数別にみると、1000人超の企業では39.2%(前年46.6%)が「増収増益」を見込んでいる一方、5人以下の企業では22.7%(同24.8%)となった。2019年度の業績は中小企業だけでなく大企業においても鈍化が進むと予想される。

 2019年度の業績見通しを上振れさせる材料(複数回答)については、「個人消費の回復」が27.0%で最も多く、8年連続で上振れ材料のトップとなったものの、前回調査より6.0ポイント減少した。次いで、「消費税率10%への引上げを控えた駆込み需要」(20.5%)、「公共事業の増加」(20.4%)、「東京五輪需要の拡大」(17.9%)、「人手不足の緩和」(16.4%)、「中国経済の成長」(15.2%)が続いている。

 一方、2019年度の業績見通しを下振れさせる材料(複数回答)は、「人手不足の深刻化」が39.0%で最多。前回調査に引き続き労働力の確保・維持に強い危機感を持っている様子がうかがえる。次いで、「中国経済の悪化」(32.2%)、「個人消費の一段の低迷」(31.5%)、「消費税率引上げによる消費低迷」(30.3%)、「米国経済の悪化」(21.2%)が続いた。また、前回調査より5ポイント以上増加した下振れ材料は全て海外経済に関連していた。

 なお、安倍政権による経済政策(アベノミクス)について、現在までのアベノミクスの成果を100点満点で評価した場合、何点と評価するか尋ねたところ、1年前より0.6ポイント評価を下げ、平均61.8点となった。6年余りにわたるアベノミクスに対して、企業は60点以上の評価をつけているものの、2年連続で点数は低下しており、徐々に厳しい見方を強めている様子がうかがえる。

 同調査結果は↓

http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p190406.pdf