東京商工リサーチがこのほど発表した「地方公共団体・中小企業等向け貸出金残高調査」結果によると、国内銀行111行の2018年9月中間期の総貸出金残高は457兆8820億円(前年同期比4.2%増)で、2012年9月中間期から7年連続で増加した。このうち、地方公共団体向けは30兆2994億円(同3.1%増)で8年連続で増加、中小企業等向けも315兆5535億円(同3.4%増)で7年連続で増加した。
国内銀行111行の2018年9月中間期の地方公共団体向け貸出が前年を上回ったのは52行(構成比46.8%)で、前年同期(62行)より10行減少。111行の総貸出金に占める地方公共団体向けは6.61%(前年同期比0.08ポイント低下)で、調査開始以来、9月中間期では初めて構成比が前年同期を下回った。地方公共団体向け貸出比率が前年同期を上回ったのは34行(構成比30.6%)にとどまり、前年同期(41行)より7行減少した。
国内銀行111行の2018年9月中間期の総貸出金のうち、中小企業等向けの構成比は68.9%(前年同期69.4%)で、2016年9月中間期(68.1%)以来、2年ぶりに68%台に低下した。111行のうち、前年同期より中小企業等向け貸出が伸びたのは101行(構成比90.9%)で、前年同期(104行)より3行減少。内訳は、大手行が6行(前年同期7行)、地方銀行が59行(同62行)、第二地銀が36行(同35行)だった。
中小企業等向け貸出金の伸び率では、「島根銀行」が前年同期比12.4%増でトップ。同行の中小企業等向け貸金は2109億円で、貸出金に占める構成比は72.9%と前年同期より1.0ポイント上昇。以下、「西京銀行」の同11.7%増、「徳島銀行」の同10.0%増、「山梨中央銀行」の同9.47%増、「百五銀行」の同9.42%増と続く。上位10行は、地方銀行と第二地銀が各4行、大手行が2行だった。
金融機関は、企業の「事業性評価」に基づく貸出に注力し始めている。リスケなどの金融支援に頼る中小企業は少なくないが、金融マニュアルが3月で廃止になった。今後、中小企業向け貸出については、事業改善の実現を金融機関が独自に判断し、貸出を決めていくことになる。金融機関は低金利競争で収益環境が厳しいだけに、企業の支援や資金需要にどこまで対応できるか、金融機関もまた生き残りをかけた取組みを避けて通れないとみられる。
同調査結果は↓