イギリスによる欧州連合(EU)離脱が混迷を極めている。イギリスに進出する日本企業では生産調整や駐在拠点の縮小などを進めるなど、イギリスを拠点とした日本企業における対欧州ビジネスの動向に注目が集まっている。帝国データがこのほど発表した「イギリス進出企業の実態調査」結果によると、イギリスに進出している日本企業は、2019年3月時点で1298社判明し、前回調査(2016年6月)より5.9%減少したことが分かった。
業種別にみると、最も多かったのは「製造業」の510社(構成比39.3%)を占めた。進出企業の約4割が製造業だったものの、構成比で1.1 ポイント減少したほか、「卸売業」(223社、同17.2%)も1.5ポイント減少した。一方、「サービス業」(226社、同17.4%)や「金融・保険業」(176社、同13.6%)は、構成比で増加した。業種細分類別では、持株会社を含む「投資業」(99社、構成比7.6%)がトップだった。
「投資業」には大手金融グループや証券会社グループのほか、欧州ビジネスの統括会社として進出した事業持株会社が多くを占めた。イギリス進出企業における「金融・保険業」が占める割合は、フランス(6.1%)やオランダ(9.7%)、スペイン(7.8%)など他の欧州各国に進出する日本企業と比べても高水準。ロンドン市は世界的な金融センターであることも、欧州拠点として金融機関や各持株会社が進出してきた要因の一つとなっている。
年商規模別にみると、最も多かったのは「100~1000億円未満」の419社(構成比32.3%)となり、構成比も前回調査から増加。「1000億円以上」(344社、構成比26.5%)も前回調査より増加しており、大手企業では引き続きイギリスに進出する傾向が見られた。他方、「10億円未満」(256社、同19.7%)と「10~100億円未満」(279社、同21.5%)では、2016年より構成比が減少した。
イギリス進出企業1298社のうち、詳細が判明した900社の進出地域をみると、9割(構成比91.2%)が「イングランド」へ進出。イングランドのリージョン別にみた進出状況では、ロンドン市を中心とした「大ロンドン」が(同62.2%)でトップ。以下、サウサンプトン市など含む「南東イングランド」(同20.6%)、ケンブリッジ市などを含む「イングランド東部」(同8.2%)と続き、ロンドン市を中心にドーヴァー海峡沿岸地域への進出が目立つ。
同実態調査結果は↓