厚生労働省がこのほど公表した「2018年度能力開発基本調査」結果(有効回答数:4231企業、4700事業所、個人1万2452人)によると、企業調査では、企業が教育訓練に支出した費用の労働者一人当たり平均額について、OFF-JT(業務命令に基づき、日常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練)は1.4万円(前回2017年度調査1.7万円)、自己啓発支援費用も0.3万円(同0.4万円)と、ともに前回より減少している。
事業所調査では、正社員に対して、OFF-JTを実施した事業所は75.7%(前回75.4%)と、前回からほぼ横ばい。産業別にみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」(97.2%)、「金融業、保険業」(94.8%)、「複合サービス事業」(94.4%)などで高く、「生活関連サービス業、娯楽業」(57.1%)、「宿泊業、飲食サービス業」(69.4%)で低くなっている。企業規模別にみると、規模が大きくなるほど実施率は高い傾向にある。
一方、正社員以外に対してOFF-JTを実施した事業所は40.4%(前回38.6%)であり、正社員に比べると約半分の水準にとどまっている。産業別にみると、「複合サービス事業」(84.3%)、「金融業、保険業」(74.0%)で高く、「不動産業、物品賃貸業」(31.1%)、「製造業」(31.7%)、「建設業」(33.1%)、「宿泊業、飲食サービス業」(33.8%)、「情報通信業」(34.1%)などで低くなっている。
能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所は76.8%(前回75.4%) と前回と比べると増加しており、近年、人材育成に問題のある事業所の増加傾向がうかがえる。能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所のうち、問題点の内訳は、「指導する人材が不足している」(54.4%) が最も高く、「人材を育成しても辞めてしまう」(53.5%)、「人材育成を行う時間がない」(47.8%)と続いている。
一方、個人調査をみると、自己啓発を行った者の割合は、正社員では45.1%、正社員以外では18.1%と、正社員以外の受講率は正社員を大きく下回っている。男性(43.6%)のほうが女性(25.6%)よりも高い。また、自己啓発を実施した労働者は35.1%となっている。自己啓発の実施率は、正社員(44.6%)が正社員以外(18.9%)より高く、男性(42.9%)のほうが女性(26.4%)よりも高くなっている。
同調査結果は↓