来年4月施行の民法改正「知らなかった」企業6割超

 来年4月に施行される売掛金などの債権に関する民法改正を「知らなかった」と回答した企業が61.1%と、6割を超えたことが、東京商工会議所が発表した「中小企業の法務対応に関するアンケート調査」結果(有効回答数921社)で分かった。従業員数の多い「301人~」の企業では「知っていた」が79.7%と約8割に達する一方で、従業員数が少ない「1~20人」の企業では28.8%と3割を下回った。

 業種別では、契約不適合責任の改正の影響が大きいと思われる「製造業」(「知らなかった」67.7%)、「建設業」(同67.0%)において認知度が低く、今後の周知が課題となっている。また、企業が抱える法務の課題(複数回答)では、「人材不足」(47.6%)、「ノウハウ不足」(45.7%)、「全社的な法務意識の醸成」(32.1%)が上位だった。「ノウハウ不足」、「社内の意識不足」は従業員数が多いほど、回答割合が高くなった。

 法務担当者(兼任を含む)については、「専任の担当者がいる」と回答した企業が8.3%、「兼任の担当者がいる」が25.6%で、「設置していない」が67.2%と、6割を超えた。専任・兼任いずれも担当者の人数が「1名」が5割以上となった。「設置していない」企業では、この3年で売上が「減少傾向」とする割合が高いのに対し、「兼任担当者」、「専任担当者」を置く企業ほど、「増加傾向」の割合が高くなる。

 法務問題の相談先(複数回答)は、「税理士」(54.7%)、「弁護士」(44.8%)、「社会保険労務士」(29.9%)が上位を占めた。従業員数が少ない企業ほど「税理士」(「1~20人」では63.6%)、多い企業ほど「弁護士」(「101~300人」では87.2%)に相談する傾向がある。創業からの社歴が3年以内の企業は、「(顧問弁護士でない外部の)弁護士」(47.2%)と「商工会議所」(38.9%)に相談する割合が高い。

 法務に関して商工会議所に求める情報提供の内容(複数回答)については、「法務の基礎知識や留意事項の提供」(64.0%)、「最新の法改正動向」(62.3%)、「契約に関するセミナーの開催」(42.4%)、「契約書の雛形の提供」(41.2%)の順に上位を占めた。従業員数が少ない企業、例えば「1~20人」の企業では、「法務の基礎知識」(81.1%)、「最新の法改正動向」(79.7%)の割合が高くなっている。

 同アンケート調査結果の報告書は↓

https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1016219