17年度国の債務超過額は▲19.5兆円の568.4兆円

 財務省が公表している2017年度の「国の財務書類」によると、2017年度末において負債が資産を上回る債務超過額は、2016年度と比べ▲19兆5千億円の568兆4千億円となった。2017年度末における資産は同▲2兆2千億円の670兆5千億円、負債は同17兆3千億円増加の1238兆9千億円(うち普通国債829兆9千億円)となった結果、資産と負債の差額は19兆5千億円の改善となった。

 2017年度の資産は、運用寄託金(111.5兆円:対前年度比2.4兆円増)が増加するも、現金・預金(47.9兆円:同▲7.4兆円)や貸付金(112.8兆円:同▲2.7兆円)の減少などで差引2.2兆円の減少。一方負債は、政府短期証券(77.0兆円:同▲7.7兆円)は減少するも、公債(966.9兆円:同+23.6兆円)や公的年金預り金(120.1兆円:同1.3兆円増)、借入金(31.4兆円:同0.7兆円増)が増加し、差引17.3兆円の増加となった。

 2017年度の行政コスト(業務費用)合計については、2016年度に比べ0.6兆円増加の145兆円となった。地方交付税交付金等(19.3兆円:対前年度末比▲0.4兆円)などが減少したものの、補助金・交付金等(51.5兆円、同0.6兆円増)や社会保障給付費(49.2兆円、同0.8兆円増)などが増加し、差引計0.6兆円増加した。一方で、財源は127兆円(同2.6兆円増加)であり、財源不足額は18.1兆円(同2兆円縮小)となった。

 2017年度の財源127兆円の内訳は、租税等収入が2016年度比3.4兆円増加の62.4兆円、社会保険料が同▲1.5兆円の53.9兆円、その他(運用益等)が同0.6兆円増加の10.7兆円だった。業務費用が財源を超過している状態(財源不足=企業会計上の当期純損失に相当)が継続している。財源不足は、将来への負担の先送りを示しており、資産・負債差額の悪化につながっている。

 なお、財源の主な増減要因等について、租税等収入は、所得税が1.3兆円増の18.9兆円、消費税が0.3兆円増の17.5兆円、法人税が1.7兆円増の12.0兆円、相続税が0.2兆円増の2.3兆円となった。また、社会保険料は、被保険者数の増加や保険料率の引上げ等により厚生年金保険料が1.4兆円増の31.1兆円となった一方、解散厚生年金基金等に係る責任準備金相当額等徴収金が▲2.8兆円の1.6兆円となった。

 2017年度国の財務書類のポイントは↓

https://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2017/point.pdf