「250万円未満」の少額開業の割合は16.7%~日本公庫

 日本政策金融公庫が2017年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業後1年以内の企業を対象に実施した「250万円未満の少額開業の実態調査」結果(有効回答数1655社)によると、開業費用の平均値は、1062万円と1991年の調査開始以来、最も少なくなった。開業費用の構成比をみると、「250万円未満」の少額開業の割合は16.7%と、2017年度に比べて2.3ポイント上昇。2014年度以降、増加傾向となっている。

 開業費用の平均調達額の割合は、「自己資金」が22.7%と2017年度に比べて1.0ポイント上昇。開業費用の調達先の割合は、「日本政策金融公庫」が83.7%、「民間金融機関(銀行、信用金庫など)」が20.0%、「身内のみ」が10.5%。「身内のみ」の割合は、長期的にみると上昇傾向となっている。また、少額開業の開業業種は、「サービス業」(29.3%)、「小売業」(13.8%)、「医療・福祉」(13.4%)の順に多くなっている。

 開業費用の合計は、少額開業が139万円、非少額開業が1247万円だった。開業費用の内訳をみると、「運転資金」(49.5%)や「設備の購入」(28.0%)が多く占める一方、「内外装工事」(7.0%)や「不動産の購入」(0.5%)の割合は低い。主な業種別にみると、小売業や飲食店・宿泊業では非少額開業に比べて「運転資金」の割合がかなり高い。また、運輸業などでは非少額開業に比べて「設備の購入」の割合が高い。

 開業費用の平均調達額の割合は、「自己資金」が35.5%と非少額開業(22.3%)よりも高い。一方、「金融機関等」は57.0%と非少額開業(67.3%)よりも低い。金融機関に借入れを「申し込まなかった」割合は、29.2%と非少額開業(8.0%)よりも高い。金融機関に借入れを申し込まなかった理由は、「自己資金で十分で借りる必要がなかった」(37.7%)が最多、次いで「開業時に利用できる融資制度を知らなかった」(36.4%)となった。

 開業時から調査時点までの従業者の増加数は、0.9人と非少額開業(1.4人)に比べて少ない。現在の売上状況が「増加傾向」の割合は、62.0%と非少額開業(58.2%)よりも高く、「減少傾向」の割合は、5.5%と非少額開業(6.2%)よりも低い。現在の採算状況が「黒字基調」の割合は、64.8%と非少額開業(60.5%)よりも高いが、黒字企業の月平均利益額は、38.2万円と非少額開業(47.5万円)に比べて低い。

 同調査結果は↓

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_190314_1.pdf