帝国データバンクがこのほど発表した「1都3県・本社移転企業調査」結果によると、2018年に1都3県(東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県)へ転入した企業は308社(前年比6.6%増)判明した。3年ぶりに前年比で増加に転じた。また、2018年に1都3県から転出した企業は285社(同2.2%増)判明し、2年連続で前年を上回った。転出企業が2年連続で前年を上回ったのは、2009年以来9年ぶりとなる。
この結果、1都3県の企業転入・転出状況は23社の転入超過となった。また、2011年以降8年連続での転入超過となり、「いざなみ景気」下での転入超過期間(2003年~08年)を上回った。政府や自治体により、地方へ企業の本社移転を後押しする税優遇措置などの制度が整備・拡充されるなか、2年連続で転出企業数は増加しているが、それを上回る企業の転入は依然として続いている。
2018年に1都3県へ転入してきた企業の転入元は36道府県であったことが判明。そのうち「大阪府」が55社(構成比17.9%)で最多となり、「茨城県」(30社、同9.7%)、「福岡県」(22社、同7.1%)、「愛知県」(21社、同6.8%)、「静岡県」(19社、同6.2%)などが上位となった。一方、2018年に1都3県から転出した企業の転出先は31道府県であったことが判明している。
その中では、「茨城県」が39社(構成比13.7%)で最多となり、「大阪府」(38社、同13.3%)、「愛知県」(22社、同7.7%)などが上位となった。総じて、大都市や首都圏とのアクセスが良好な府県へ移転する企業が多数を占めた。また、転出先では「兵庫県」(16社、同5.6%)は昨年の13位から5位に、「岡山県」(10社、同3.5%)は30位から9位に、それぞれ大幅に順位を上昇させるなど、地方都市への移転も多くみられた。
2018年には、「地方拠点強化税制」の優遇要件が一部緩和されたほか、これまで支援対象外であった近畿圏中心部、中部圏中心部まで拡充され、これらの地域への移転が進むことも考えられる。東京圏から離れた地方では、企業だけでなく人を呼び込む施策が重要度を増しており、「地方創生」政策の柱である「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の5ヵ年計画の仕上げの年2020年が近づくなか、これらの取組みが注目される。
同調査結果は↓