東京商工リサーチがこのほど発表した「負債1000万円未満の倒産調査」結果によると、2018年(1~12月)「負債1000万円未満」の企業倒産は521件(前年比6.5%増)で、リーマン・ショック直後の水準に戻していることが分かった。同調査は2018年1年間に全国で発生した倒産(法的、私的)のうち、通常の倒産集計(負債1000万円以上)に含まれない負債1000万円未満の倒産を集計、分析したもの。
2018年の負債1000万円未満の倒産は、7年ぶりに500件を超え、2010年(537件)に次ぐ2番目の高水準となった。負債1000万円以上の企業倒産は10年連続で前年を下回っているが、負債1000万円未満は増勢をたどり対照的な動きをみせている。負債1000万円未満の倒産には、代表者の個人破産に合わせて法人(企業)を処理するケースや、長年にわたり実質的に休眠状態だった企業の整理も散見される。
「人手不足」関連倒産は31件(前年24件)だった。代表者の病気や死亡による「後継者難」は27件(同22件)と「人手不足」関連倒産の87.0%を占め、事業承継が大きな課題になっている。また、産業別は、10産業のうち7産業で前年を上回った。最多は「サービス業他」の241件(構成比46.2%)で、ほぼ半数を占めた。以下、「小売業」79件(同15.1%)、「建設業」66件、「卸売業」41件、「製造業」30件と続く。
最多のサービス業他では、「医療、福祉事業」(19→24件)、「飲食業(70→87件)」、「エスティック業などを含む生活関連サービス業、娯楽業」(32→38件)で、増加が目立った。 増加率では、「農・林・漁・鉱業」が前年比200%増(1→3件)で最高。次いで、「金融・保険業」の同33.3%増(3→4件)、「情報通信業」の同27.2%増(22→28件)、「サービス業他」の同13.6%増(212→241件)、「不動産業」の同13.3%増(15→17件)の順。
2018年の企業倒産は、「負債1000万円以上」が8235件(前年比2.0%減)、「同1000万円未満」が521件(同6.5%増)で、合計8756件(同1.5%減)だった。負債で区分しない倒産全体は2017年に8年ぶりに増加し、2018年は再び減少した。だが、減少幅は縮小し、倒産の「底打ち感」が強まっている。一方、2018年の「休廃業・解散」は4万6724件(同14.2%増)で、2年ぶりに増加に転じた。
2018年の全倒産と休廃業・解散の合計は5万5480件で、2017年の合計4万9803件から11.3%増加した。5万件台に乗せるのは2016年以来、2年ぶり。業績改善が遅れ、後継者難から事業継続が困難な企業は少なくない。市場から撤退する形態はM&Aや事業譲渡の他には、「倒産」と「休廃業・解散」が中心になるが、判明するデータでは2014年を底に、2016年から増勢トレンドにある。
同調査結果は↓