産労総合研究所が上場企業等を対象に昨年12月に実施した「2019年春季労使交渉に臨む経営側のスタンス調査」結果(有効回答数158社)によると、企業担当者の賃上げの世間相場の予測は、「2018年と同程度」が58.9%(前回調査54.1%)、「2018年を上回る」は12.7%(同22.6%)、「2018年を下回る」は10.1%(同5.7%)だった。なお、「現時点(2018年12月)ではわからない」と判断を保留した企業は、17.7%(同17.6%)となった。
自社の賃上げ予測については、最も多かったのが「賃上げを実施する予定(定期昇給を含む)」で72.2%(前回調査74.8%)と7割強を占め、次いで「現時点ではわからない」23.4%(同20.8%)、「賃上げは実施せず、据え置く予定」3.8%(同3.8%)で、「賃下げや賃金カットを考えている」と回答した企業はなかった。「賃下げ、賃金カット」の回答は前年同様なく、2018年とおおむね同様の傾向がみられた。
自社の賃上げを実施する予定と回答した7割強の企業の自社の賃上げ率予測は、世間相場の賃上げ予測と同様に、最多が「2018年と同程度」の71.9%で前回調査を8.0ポイント上回り、賃上げ率予測は1.9%(前回2.0%)。次いで多かったのは「2018年を上回る」の11.4%で、同2.9ポイント下回り、賃上げ率予測は2.7%(同2.6%)。最も少なかった「2018年を下回る」は10.5%(同6.7%)で、賃上げ率予測は1.8%(同2.0%)だった。
定期昇給制度がある企業は85.4%だったが、具体的に記入のあった企業の定期昇給の平均額、率をみると、4510円、1.70%と前回(5022円、1.77%)から減少した。定期昇給制度の適用対象の範囲は、「全社員に適用」する企業が最も多く、半数以上の52.6%(前回47.2%)、「一般社員のみに適用」27.4%(同28.5%)、「特定層のみに適用」3.7%(同4.9%)だった。ここ数年、全社員に適用する企業の割合が上がっている。
定期昇給制度のある企業の2019年の賃金改定の内容は、「定昇のみを実施する予定」が48.9%(前回調査51.2%)、「定期昇給もベアも実施する予定」は13.3%(同15.4%)と、どちらも前回調査から減少。また、34.1%と3割強の企業は「現時点ではわからない」と回答。企業規模別にみると、大企業については、「現時点ではわからない」が51.6%と5割を超えており、調査時点(2018年12月)では態度を保留した企業が多いようだ。
2019年の年間賞与については、2018年に比べて「増加する見通し」とした企業は13.9%(前回調査15.7%)、「ほぼ同額」36.1%(同28.9%)、「減少する見通し」5.1%(同8.8%)だった。また、業績連動型賞与制度を導入している企業は31.6%で、前回調査(25.2%)から6.4ポイントの増加。導入していない企業は65.2%(同71.1%)で、今後の方向性としては「導入する予定はない」が68.9%で最も多く、「現在検討中」は18.4%だった。
同調査結果は↓