18年老人福祉事業者倒産83件、過去3番目の高水準

 高齢化を背景に需要拡大が見込まれるはずの老人福祉事業者の倒産が2016年以降で急増。帝国データバンクが発表した「老人福祉事業者の倒産動向調査」結果によると、2018年の老人福祉事業者の倒産(法的整理)は83件となり、2016年(91件)、2017年(88件)に次いで過去3番目の高水準となった。一方、負債総額は負債10億円以上の倒産が発生しなかったことが大きく影響し、前年(129億3400万円)比で5.6%減となった。

 主力事業等の詳細が確認できた78件(以下同)を業態別にみると、「訪問介護」(居宅介護)を主業とする事業者が34件(構成比43.6%)、「通所介護」(デイサービス)の30件(同38.5%)、「老人ホーム」の10件、「高齢者専用住宅」「グループホーム」の2件の順となった。初期投資の負担が少なく起業しやすい「訪問介護」、「通所介護」を合わせると構成比が8割強にのぼり、この業界の倒産件数の大半を占めている。

 法人格別にみると、「株式会社」(52件、構成比66.7%)が最も多く、以下、「有限会社」「合同会社」(9件、同11.5%)、「特定非営利活動法人(NPO法人)」(4件、同5.1%)と続き、7つの法人格に分類された。最多となった「株式会社」を業態別にみると、52件のうち22件が訪問介護、18件が通所介護。1件となった「合資会社」は訪問介護、「社会福祉法人」は老人ホームの業態だった。

 態様別にみると、「破産」(73件、構成比93.6%)が最多、そのほか「特別清算」(3件)、「民事再生法」(2件)の順。多くが小規模事業者のため、清算型による処理が構成比97.4%を占め、再建型はわずか2件にとどまった。また、負債額別にみると、「1億円未満」(67件、構成比85.9%)が最も多く、1億円以上はわずか11件にとどまった。さらに、「1億円未満」の67件のうち60件の負債額は5000万円未満となっている。

業歴(法人設立から倒産までの期間)別にみると、「5年~10年未満」(31件、構成比39.7%)が最多、以下、「10年~15年未満」(15件)、「3年未満」(14件)と続き、10年未満が70.5%を占め、「30年以上」はわずか1件となった。2018年に発生した全国企業倒産8063件のうち、業歴「30年以上」は構成比32.0%、10年未満が同25.1%であることから、いかに生き残りが厳しく業歴の短い事業者が多い業界であるかが分かる。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p190203.pdf