産業能率大学が従業員数6人以上300人以下の企業経営者を対象に昨年11月下旬に実施した「中小企業の経営施策に関する調査」結果(有効回答数588人)によると、2019年の業績見通しについては、昨年に比べて“上回る”(「大幅に上回る見込み」+「やや上回る見込み」)とする回答が3.4ポイント減少した。しかしながら、「大幅に上回る見込み」、「やや上回る見込み」、「同様となる見込み」とする回答を合わせると82.6%にのぼる。
依然として8割以上の経営者は近年の好況感を継続し、昨年と“同様以上”の業績を維持できるという見通しを立てている。業種別にみると、業績が“上回る”との回答割合は、「電気・ガス・熱供給・水道業」83.3%、「情報通信業」48.8%、「金融・保険業」75.0%、「不動産業」48.2%で他の業種と比べて高い数値。一方、業績が“下回る”は、「建設業」22.9%、「卸売・小売業」23.8%、「飲食店・宿泊業」29.4%が他業種に比べ高い割合となった。
経営者として2019年に最も取り組みたいことは、「従業員の新規採用」(13.4%)が最多、次いで、「利益率の向上」(12.8%)、「国内の販路拡大」(12.6%)、「営業力の強化」(8.0%)、「新規事業への進出」(7.3%)と続いた。人材を確保し、販路拡大・営業力強化・新規事業進出によって利益を生み出そうとする積極的な姿勢がうかがえる。特に「従業員の新規採用」については、昨年調査時から2.7ポイント増加し、過去最高となった。
副業制度を導入している(導入を検討する)企業と、副業制度を導入していない企業にその理由を尋ねたところ、副業制度を導入している(導入を検討する)理由は、「従業員の副収入獲得(給与の補填)のため」(56.5%)、「優秀な人材を確保するため」(42.9%)、また、副業制度を導入していない理由は、「本業に専念してほしいから」(68.1%)、「従業員の長時間労働を助長するおそれがあるため」(32.1%)が上位に挙げられた。
2018年に成立した「働き方改革関連法案」により、2019年4月から、10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対して毎年5日間の年次有給休暇の取得が義務付けられることになった。そうした中で、経営者に有給休暇取得義務化への対応状況について尋ねたところ、過半数となる53.6%が「まだ対応できていない」と回答している。
同調査結果の詳細は↓
http://www.sanno.ac.jp/research/fm3fav0000001lw8-att/forecast2019.pdf