東京商工リサーチがこのほど発表した「2018年業歴30年以上の『老舗』企業倒産調査」結果によると、2018年に倒産した8235件のうち業歴が判明したのは7009件で、このうち、業歴30年以上の老舗企業は2292件(構成比32.7%)だった。構成比は前年より1.5ポイント上昇し、ここ15年間で最高を記録した。倒産企業に占める老舗企業の構成比は2011年以降、8年連続で30%以上を持続している。
老舗企業は、長年にわたる実績を背景に、不動産や内部留保などの資産が厚く、金融機関や取引先などの信用を得ている。ただ、近年の金融機関は単なる財務内容や業績だけでなく、将来性を優先して判断する「事業性評価」が徐々に浸透している。過去の成功体験から抜け出せず新たな投資や取組み遅れは致命傷になりかねない。また、代表者の高齢化が進み、事業承継や後継がスムーズに進まないと倒産に至るケースも少なくない。
一方、業歴10年未満の新興企業の倒産は1745件(構成比24.8%)で、その構成比は前年より0.3ポイント上昇した。国や自治体が積極的に創業支援を促しているが、計画の甘い経営も指摘されており、構成比は老舗同様にここ15年間で最高となった。2018年の倒産企業の平均寿命は23.9年で、前年の23.5年から0.4年上昇した。前年を上回ったのは、2015年以来、3年ぶり。
産業別の倒産企業の平均寿命が最も長かったのは「製造業」の33.9年で前年の32.9年より1.0年上昇。2011年の27.9年から8年連続で前年を上回った。次いで、「卸売業」27.1年(前年26.1年)、「運輸業」25.9年(同27.0年)、「農・林・漁・鉱業」25.1年(同20.0年)、「建設業」と「小売業」が24.2年の順。平均寿命が最も短いのは、投資業などを含む「金融・保険業」の11.7年(同16.4年)だった。
2018年に倒産した企業で、老舗企業の構成比を産業別にみると、最高は「製造業」の57.1%(前年52.9%)で唯一、半数を占めた。次いで、「卸売業」38.6%(同36.5%)、「農・林・漁・鉱業」37.9%(同25.8%)、「運輸業」36.2%(同40.9%)、「不動産業」33.8%(同36.9%)の順で、10産業のうち、6産業が前年を上回った。製造業は、輸出企業を中心に大手企業が好業績をあげている一方、倒産に追い込まれたのは小・零細企業が中心だった。
業歴10年未満の構成比は、最高が「金融・保険業」の73.3%(前年44.7%)。次いで、「サービス業他」38.1%(同37.6%)、「情報通信業」28.0%(同27.1%)の順。老舗企業で構成比トップの「製造業」は10.1%(同8.7%)と、低率ながら3年ぶりに10%を上回った。業歴10年未満で構成比トップの「金融・保険業」は、保険代理店のほか、低金利が続くなか高配当を謳い資金を集めた投資業などが散見された。
同調査結果は↓