労務行政研究所が毎年発表している「賃上げに関するアンケート調査」によると、2019年の賃上げ見通しは、全回答者472人の平均で6820円・2.15%(定昇分含む)となった。厚生労働省の主要企業の昨2018年賃上げ実績(7033円・2.26%)は下回るが、賃上げ率は6年連続で2%台に乗るとの予測。同調査は、1月16日までに回答があった労働側223人、経営側126人、労働経済分野の専門家123人の計472人の回答を集計したもの。
労使別にみた平均値は、労働側が6779円・2.14%、経営側が6701円・2.11%となった。両者の見通しの差は78円・0.03ポイントとなっている。本調査における「実際の賃上げ見通し」は、2014・2015年は企業業績の回復や政府の賃上げ要請等に後押しされ、社会的にも賃上げムードが高まるなか、労使の見通しに開きが生じていたが、2016年以降は縮小に転じている。
賃上げ率の分布は、労使とも「2.0~2.1%」が最も多く(労働側39.5%、経営側43.7%)続いて「2.2~2.3%」が19.3(同16.1%、20.6%)、「2.4~2.5%」が11.4%(同10.8、7.1%)と続いている。今回の調査では前提として定昇率を「1.8%程度」と提示している。定期昇給制度がない企業もあるため一様には言えないが、調査結果から、定昇に幾らかのベアが上積みされるとの見方が多いといえる。
また、自社における2019年の定昇については、労働側85.2%、経営側83.3%が「実施すべき」、「実施する予定」と回答。経営側の「実施しない(凍結する)予定」は2.4%にとどまった。一方、ベースアップは、経営側では「実施する予定」38.1%、「実施しない予定」37.3%%となった。労働側では、ベアを「実施すべき」が75.8%と4分の3以上を占め、ベアに対する労使の見解には大きな違いがある。
経営側に、自社における18年のベアの実績を尋ねたところ、「実施した」57.9%、「実施しなかった」35.7%。集計対象(回答者)が異なるため厳密な比較ではないが、昨18年は、経営側のベアを「実施する予定」33.6%に対し、実際にはこれを大きく上回る企業がベアを実施したことになる。今回の集計対象における18年実績と19年予定を併せて見ると、両年とも“実施”が32.5%で最多、両年とも“実施しない”が27.0%となっている。
同アンケート調査結果の詳細は↓