29%にとどまる企業の健康経営の認知度~東商調査

 健康経営とは従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法。具体的には従業員の健診受診率100%を目指す、職場での「運動」、「食事」、「禁煙」等の健康づくり施策を実施する、メンタルヘルスや過重労働対策などの取組みを通じて、従業員の心身の健康増進を図るもの。東京商工会議所が発表した「健康経営に関する実態調査」では、健康経営に対する企業の認知度は29%と約3割にとどまった。

 調査結果(有効回答数292社)によると、健康経営の認知度について、29.0%の企業が「内容を知っている」と回答。その割合は前回2017年度調査に比べて1.6ポイント増加。また、「聞いたことがない」は31.5%で同8.5ポイント減少している。一方で、「内容は知らないが、聞いたことがある」が39.5%で、「健康経営」の言葉自体は広がりつつも、取組方法や効果についてはまだまだ認知度が低く、さらなる普及活動が必要とみられる。

 健康経営を「現在実践している」企業は20.8%にとどまったが、「現在実践していないが、近い将来具体的な予定がある」(8.7%)、「いずれ実践したい」(54.3%)、「必要だと思うが、実践できない」(14.2%)を合わせると約98%と、ほとんどの企業が、健康経営の実践に関心を持っている。しかし、14.2%の企業は「必要だと思うが、実践できない」と回答し、一定数の中小企業が健康経営推進に課題を抱えていることが分かった。

 健康経営を実践している(実践の予定がある)企業の具体的な取組み(複数回答、回答者数81社)は、健康診断受診率100%や人間ドックの費用負担など「健診・検診」(42社)に関しての実践(又は実践予定)が最も多く、次いで、ノー残業デイの設置など「労働時間等の適正化」(16社)、「禁煙・分煙」(12社)と続いた。また、「スポーツイベントの実施」(12社)など、従業員の健康づくりに積極的な取組みをする企業も多かった。

 健康経営を実践するに当たっての課題(複数回答)では、「どのようなことをしたらよいか分からない」が45.5%、「ノウハウがない」が36.6%、「社内の人員がいない」が26.0%と、上位には前回調査結果と同じ項目が並んだ。また、「効果やメリットが分からない」が22.9%で、前回の6.8%から大幅に増加。健康経営の実践促進のため、具体的な取組方法の周知や実践支援サポート施策のほかに、健康経営のメリットの周知も必要とみられる。

 同調査結果は↓

https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1013694