日本経団連が発表した「2018年1~6月実施分の昇給・ベースアップ実施状況調査」結果(有効回答数465社)によると、賃金決定にあたって主として考慮した要素(2つ回答)は、同項目の調査を開始した2009年から「企業業績」(61.7%)が最も多く、次いで「世間相場」(47.5%)が多い傾向に変化はないものの、「人材確保・定着率の向上」(29.7%)が前年より9.9%ポイントの大幅増加となった。
この背景には、人手不足の深刻化による採用難などにより、賃金決定にあたって人材確保・定着を優先している企業が増えていることがうかがえる。また、「昇給・ベアともに実施」した企業は、前年比7.6ポイント増の66.5%となり、「昇給実施(ベアなし)」とあわせると、回答した全ての企業において、定期昇給や賃金カーブ維持分の昇給など、何らかの月例賃金引上げが実施されている。この傾向は、2014年から5年間続いている。
月例賃金の引上げ額・率は7104円・2.37%で、2015年以来3年ぶりに7000円を超え、2.3%を上回った。2014年を境として、7000円前後・2.2~2.4%の高水準で推移している。 昇給とベースアップの区別のある企業における月例賃金引上げ額・率(7022円・2.32%)の内訳をみると、ベア分は1399円・0.46%で、過去5年間続いている賃金引上げの流れの中で最も高い引上げ額・率となった。
月例賃金の引上げ額の分布状況をみると、「5000円台」(16.9%)、「6000円台」(17.2%)、「7000円台」(15.7%)が上位を占める傾向に変化はみられないものの、8000円台以降で前年より増加した区分が多い。特に「8000円台」(13.0%)は、前年と比べて5.5ポイントも増えた。また、1万円以上の分布は、「1万~1万1000円」が3.4%、「1万5000円以上」が4.2%など、合計は1割超(11.8%)で、前年(11.1%)より増加した。
同調査結果は↓