帝国データバンクが発表した「人手不足倒産の動向調査」結果によると、2018年1年間の「人手不足倒産」は153件発生し、負債総額は223億7700万円となった。件数は前年比44.3%の大幅増となり、3年連続で前年を上回った。調査を開始した2013年以降、6年間の累計件数は500件に達した。企業倒産の全体件数(2018年、8063件)が前年同期を3.7%下回ったなか、増加率が3年連続で二ケタを超えるなど増勢が続いている。
また、2018年の負債総額は223億7700 万円となり、6年間の累計額では1036億7700万円にのぼった。負債規模別件数をみると、2018年は「1億円未満」が91件と、前年比85.7%増加。構成比は前年から13.3ポイント上昇し、59.5%と過半を占めた。これに「1~5億円未満」が54件(35.3%)で続いた。6年間累計でも「1億円未満」(258件、構成比51.6%)が最多と、小規模倒産が過半を占めた。
業種別件数をみると、2018年は「建設業」が前年比58.6%の増加で、最多の46件(30.1%)となった。「サービス業」(41件)がこれに続き、この2業種で全体の過半(56.9%)を占めた。増加率では、「運輸・通信業」(30件)が前年比87.5%の増加でトップだった。6年間累計の最多も「建設業」(167件、構成比33.4%)で、以下、「サービス業」(145件、同29.0%)、「運輸・通信業」(62件、同12.4%)と続いた。
業種細分類別の6年間累計件数をみると、「道路貨物運送」が43件で最多。このうち2018年は21件(前年9件)と、前年比2.3倍に急増。配送需要は高まっているものの、ドライバー不足による受注難から資金繰りの悪化を招き、倒産する企業が目立った。以下、「老人福祉事業」では、有資格者の確保難や離職者の増加で十分なサービスを提供できないなどの理由から32件(2018年10件、前年4件)発生した。
「木造建築工事」は、職人不足を背景とした外注先の確保難などから27件(2018年8件、前年5件)。「労働者派遣」は、製造作業員やIT技術者など、派遣スタッフの不足などから23件(2018年10件、前年4件)と続いた。このほか上位には、「建設工事」(21件)、「土木工事」(18件)など慢性的な現場職人や施工管理者の不足による労務費の上昇が深刻化している建設業の各業種が並んだ。
同調査結果は↓