厚生労働省が27日に公表した「2018年賃金引上げ等の実態に関する調査」結果によると、2018年中に1人平均賃金を引き上げた(予定含む)企業は前年比1.9ポイント増の89.7%と、過去最高となった。1人平均賃金とは、常用労働者の所定内賃金(基本給)の1人当たり平均額で、残業代やボーナスは含まれない。同調査は、常用労働者が100人以上いる企業を対象に今年8月時点で実施し、1578社から有効回答を得た。
1人平均賃金を「引き下げた」企業は前年比0.2ポイント増の0.4%、賃金の改定を「実施しない」は同0.4ポイント減の5.9%。2018年中の1人平均賃金の改定額は前年を48円上回る5675円で、比較可能な1999年以降で過去最高を2年連続で更新した。改定率は同横ばいの2.0%。改定額を企業規模別にみると、「5000人以上」は7109円、「1000〜4999人」5645円、「300〜999人」5247円、「100〜299人」5039円だった。
管理職の定期昇給制度の有無をみると、「制度あり」の企業が78.3%、「制度なし」が21.1%。制度ありの企業で2018年中に「定昇を行った」企業は69.7%(前年69.0%)、「定昇を行わなかった」企業が8.1%(同6.3%)。一方、一般職では、「定昇制度あり」の企業が85.1%、「定昇制度なし」の企業が14.4%。制度ありの企業で2018年中に「定昇を行った」企業は80.1%(同77.5%)、「定昇を行わなかった」企業が4.5%(同5.0%)だった。
定昇制度がある企業のうち、2018年中に「ベアを実施した」企業は、管理職で24.2%(前年22.9%)、一般職で29.8%(同26.8%)。また、2018年中に「賃金カットを実施・予定している」企業は6.1%(同6.3%)で、対象者別にみると、「管理職のみ」の企業が23.4%(同26.8%)、「一般職のみ」が28.1%(同24.4%)、「管理職一部と一般職一部」が46.3%(同47.9%)となっており、「一般職全員」は0.4%(同0.0%)だった。
2018年中に賃金の改定を実施・予定している企業について、賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素をみると、「企業の業績」とした企業が50.4%(前年55.0%)と最も多く、「重視した要素はない」(16.3%)を除くと、「労働力の確保・定着」が9.0%(同8.7%)、「雇用の維持」が7.0%(同3.9%)、「親会社又は関連(グループ)会社の改定の動向」が5.5%(同4.6%)、「世間相場」が4.5%(同5.1%)となっている。
同調査結果の概況は↓
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/18/dl/10.pdf