帝国データバンクが発表した「パチンコホール経営業者の経営実態調査」結果によると、直近5期連続で業績が判明したパチンコホール経営業者2106社の売上高を加算した「売上高合計」の推移は、2013年度(21兆882億円)から4年連続で減少し2017年度には17兆3735億円となった。減少幅は、2014年度が前年度比3.0%、15年度4.2%、16年度5.4%、2017 年度6.3%と年々拡大し、減少基調に歯止めが掛からない状態がうかがえる。
「増収」となったパチンコホール経営業者の社数推移をみると、2014年度は366社で構成比17.4%だったが、2015年度(260社、同12.3%)、2016年度(197社、同9.4%)、2017年度(182社、同8.6%)と年々減少し、2017 年度の構成比は1割未満まで減少した。「増収」以外の「減収」・「横ばい」の合計である「その他」は2017年度に構成比91.4%に達しており、9割超が増収を果せずにいる現状が明らかとなった。
規模別にみると、最も社数が多かったのは「10億円以上50億円未満」(888社、構成比42.2%)。一法人で2~3ホールを経営するような事業規模の社数が最も多かった。以下、「1億円以上10億円未満」(595社、同28.3%)、「100億円以上500億円未満」(282社、同13.4%)と続いた。一方、「1000億円以上」(24社、同1.1%)の大規模法人は全体の約1%にとどまっている。
倒産件数の推移をみると、2018年は10月末時点で20件発生。前年の2017年は年間21件だったため、このペースで倒産が発生すると前年を上回る可能性が高い。過去の倒産ピークは、2007年及び2008年の72件であり、同水準と比べると小康状態ではあるものの、2年連続で前年を上回る見込み。なお、負債は2018年10月時点で63億1000万円。1社あたりの負債額は約3億1500万円となっている。
パチンコ・パチスロ業界は、「依存症問題」に端を発し、規制強化が進んでいる。今年8月には6段階設定搭載パチンコ機が発売されたほか、2019年2月以降は6号機と呼ばれるパチスロ機の検定基準変更が控えるなどルールの厳格化が進んでいる。こうした規制強化による射幸心の低下は、依存症問題の解決策と目される一方、“遊戯者離れ”を引き起こす可能性が指摘されており、パチンコホール経営者の経営環境は大きく変化している。
同調査結果は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p181107.pdf