帝国データバンクが発表した「全国後継者不在企業動向調査」結果によると、2016年以降から2018年10月間の詳細な実態が判明した約27 万6千社(全国・全業種)の後継者不在状況は、全体の約66.4%に当たる約18万社で後継者が「不在」となった。社長年代別にみた後継者不在率では、最も高いのは「30代未満」の94.1%となり、経営者が高齢になるにつれ、後継者不在率は減少傾向となっている。
現社長における先代経営者との就任経緯別にみると、全年齢で一貫して「同族承継」で就任した社長の後継者不在率が、「創業者」の後継者不在率を下回った。「同族承継」では、親族間で確立した世代交代制度などが、後継候補の確保に寄与している可能性がある。他方、「創業者」では事業承継が未経験の企業も多く、事業を承継させるために「何に取り組めばいいのかがわからない」まま、先延ばししている中小企業も少なくないとみられる。
一方、「内部昇格」で就任した社長の後継者不在率は、67歳以降全国平均を上回り、68歳以降で「創業者」を上回った。内部昇格や外部招聘などにおいて、若い世代が事業承継を受けた企業では次代の後継者選定に向けた十分な時間が取れているケースが多いとみられる。一方、比較的高齢で事業を引き継いだ経営者などでは、後継候補の選定や育成といった事業承継の準備期間が短くなりやすく、後継者候補の選定や事業承継が難航する要因となる。
2018年における後継者不在率を従業員数別にみると、従業員数「5人以下」の企業は全体の75.0%が後継者不在となった。売上高規模別では「5000万円未満」で81.4%、資本金別では個人事業主を含む「1000万円未満」で76.9%の企業がそれぞれ後継者不在となっており、中・小規模企業を中心に後継者の選定を終えていない企業が多い。一方、中堅~大規模企業になるほど後継者の選定が進んでいる傾向がみられる。
約27万6千社のうち、詳細な後継候補が判明している約9万3千社の後継者候補の属性をみると、後継候補として全国で最も多いのは「子供」の39.7%、次いで「非同族」の33.0%。年代別にみると、60代以降の社長では後継候補として「子供」を選定するケースが多い一方、50代以下の社長では「親族」や「非同族」を後継候補としている企業が多く、50代では約4割が「非同族」を後継候補としていた。
2016年以降に事業承継が判明した企業約3万5千社の社長を就任経緯別にみると、2018年は「同族承継」で引き継いだ割合が最も高く36.0%となった。しかし、親族以外の従業員などが事業を承継した「内部昇格」や「その他(買収・出向・分社化等)」などの割合が上昇しており、全体の半数超で親族以外出身の社長が事業承継を受けていた。こうしたケースでは、豊富な業界経験や経営経験を背景に代表職へ就任した企業が多い。
同調査結果は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p181103.pdf