帝国データバンクがこのほど発表した「広告関連業者の動向調査」結果によると、2018年の広告関連業者の倒産件数は、10月末時点で129件となり、前年同期(2017年1~10月)の121件を上回り、このままのペースで推移すると、2年連続で前年比増加の見込みとなっている。一方、負債総額は同月末時点で138億2700万円となり、2014年以来4年ぶりに100億円を突破している。
広告関連業者の倒産は、リーマン・ショック翌年の2009年(258件)をピークに、しばらくは減少傾向で推移し、2014年には200件を下回った。2013年から2016年までは4年連続で前年比減少が続いたものの、2017年には5年ぶりに前年比増加に転じ、2018年も増加基調で推移している。業種別にみると、「広告代理業」が72件(構成比55.8%)で最多となり、既に2017年の件数(67件)を上回っている。
以下、「ディスプレイ業」が22件(構成比17.1%)、「広告制作業」が20件(同15.5%)と続く。特に「広告代理業」は、主力取引先であるパチンコ店の閉店・自主廃業など業界不振の影響で売掛金の回収難に陥った業者が見受けられたほか、市況低迷の長期化による大口先の出稿減少や東日本大震災の発生に伴って広告自粛を余儀なくされるケース、広告媒体の多様化による同業他社との競合激化、広告内製化の煽りなどの要因がみられた。
負債規模別にみると、「1000万~5000万円未満」が91件(構成比70.5%)で最多となった。近年「1000万~5000万円未満」の倒産が占める割合は増加傾向にあり、2009年は約5割だったものが、2010年から6割を超え、2017年に初めて7割台となるなど、小規模企業の倒産増加が目立つ。一方で、負債総額が50億円を超える大型倒産は、2010年の中央宣興(株)(広告代理業、負債76億8100万円)以来発生していない。
以上のように、2018年の広告関連業者の倒産は2年連続で前年を超えるペースで推移。特に「広告代理業」は、取引先の業界不振の影響のほか、広告費の圧縮や自然災害による広告自粛などで、倒産に至るケースが見られた。また広告関連業者は、倒産企業における中小零細業者の割合が他業種に比べて高く、体力に乏しい小規模業者を中心に淘汰が進んでいるとみられ、今後も大手と中小零細の二極化が鮮明化していくと予想している。
同調査結果は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p181101.pdf