中小企業の年次有給休暇、4人に1人が「取得ゼロ」

 連合総研が首都圏・関西圏に住む20~64歳の民間企業勤務者2000人を対象に10月1~5日に実施した「勤労者の仕事と暮らしに関するアンケート調査」結果によると、昨年度の年次有給休暇の取得実績は、「取得した」との回答が34.9%、「取得しなかった」は43.6%だった。また、年次有給休暇を「全く取得しなかった」は、時間外労働時間45時間以上で3人に1人、従業員99人以下で4人に1人であることが明らかになった。

 従業員規模別にみると、「まったく取得しなかった」との回答は、「99人以下」で24.8%、「100~999人」で14.8%、「1000人以上」で7.7%と、従業員規模が小さいほど取得できない傾向にあった。「卸売・小売業・飲食店・宿泊業」(21.6%)や「労組なし」(19.6%)でも、「まったく取得しなかった」との回答が2割程度あり、2019年4月に施行される年5日の取得義務化の効果が期待されている。

 年次有給休暇の取得実績を労働時間別にみると、おおむね1週間当たりの実労働時間及び1ヵ月当たりの所定外労働時間が長くなるほど、「まったく取得しなかった」と回答した割合が高い。特に、1週間当たりの平均実労働時間が「60 時間以上」では34.2%、1ヵ月当たりの所定外労働時間が「45 時間以上80 時間未満」では32.4%、「80 時間以上」では36.4%が、「まったく取得しなかった」と回答している。

 昨年度の年次有給休暇の付与日数の平均値は16.5日、取得日数の平均値は10.2日だった。年次有給休暇を取り残す理由(3つまで回答)は、「病気や急用のために取っておいたが取り切れなかった」が37.7%で最も多く、次いで「職場に休みにくい雰囲気があるから」(34.6%)、「職場に迷惑がかかるから」(27.9%)、「休んでもすることがないから」(13.7%)、「休んだ分、成果や業績を出せなくなるから」(13.1%)が続いた。

 なお、年次有給休暇の取得にプラスに作用しているのは、「経営トップや上司からの雰囲気づくり」、「十分な要員確保」、「取得が低調な者への指導」、「連続休暇の取得促進」の順。一方、マイナスに作用は、「年次有給休暇を取得しにくい雰囲気がある」、「恒常的に残業が行われている」、「年次休暇が取りにくい人事評価が行われている」だった。いずれにおいても、職場での雰囲気が、年次有給休暇の取得を大きく左右することが示唆されている。

 同調査結果は↓
https://www.rengo-soken.or.jp/about/56eb333e4fd58fe8ca461fa7d95b9de26fcb0bb9.pdf