帝国データバンクがこのほど発表した「全国平均借入金利動向調査」結果によると、2017年度の全国の平均借入金利は1.33%となり、前年度比0.09ポイント低下した。10年前の2008年度比では0.82ポイントの低下。借入金利は、2007年度(2.21%)をピークに10年連続で低下している。米国の金利引上げや株高に伴って、長期金利(新発10年国債)は上昇傾向にあるなかで、企業の借入金利は引き続き低水準で推移している。
都道府県別にみると、最も借入金利が低かったのは「愛知県」の1.10%(前年度比▲0.11ポイント)、以下、「香川県」の1.11%(同▲0.10ポイント)、「岐阜県」の1.17%(同▲0.13ポイント)と続く。「名古屋金利」という言葉で知られる通り、第二地銀及び多数の信用金庫がひしめく中部地方の2県で低金利が顕著となるほか、5番目の「大阪府」までいずれも前年度比で0.10ポイント以上の低下となるなど、金利競争が続いている。
一方で金利が高かったのは、「秋田県」(1.77%、前年度比▲0.07ポイント)、次いで「山形県」(1.65%、同▲0.10ポイント)、「岩手県」(1.62%、同▲0.11ポイント)、「青森県」(1.54%、同▲0.12ポイント)と、東北地方の借入金利が、前回調査同様に高い傾向がみられた。最も金利が高い「秋田県」と最も低い「愛知県」では、0.67ポイントの乖離があり、人口動態や所在する金融機関数によって地域ごとの金利差に大きな開きがみられた。
業種別にみると、最も平均借入金利が低いのは「製造業」(1.21%、前年度比▲0.13ポイント)と「小売業」(1.21%、同▲0.09ポイント)で、最も高いのは「不動産業」(1.48%、同+0.05ポイント)、次いで「建設業」(1.45%、同▲0.06ポイント)となった。「不動産業」は、7業種中唯一、借入金利が上昇しており、2006年度以降の推移でみても、他業種と比べ借入金利の変動幅が大きくなっている。
今回の調査では、2017年度は1.33%という低水準となっていることが判明。また、不適切な投資用ローン問題に揺れる「不動産業」において、他業種と異なり借入金利の上昇がみられ、特徴的な金利動向を辿っている実態もみられた。日銀の金利政策に大きな変更はなく、引き続き借入金利は低水準で推移するとみられるが、米国の利上げなどもあり、数年のうちに国内企業の借入金利動向にも変化が見られる可能性も否定できないとしている。
同調査結果は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p181102.pdf