企業倒産沈静化の中でパチンコホール倒産は高止まり

 東京商工リサーチが発表したパチンコホールの倒産状況によると、2018年2月に出玉規制が強化された「パチンコホール」の倒産は、2018年1~10月累計で23件だった。前年比2.4倍増と急増した2017年同期と同件数で、全体の企業倒産が沈静化する中でパチンコホール倒産は高止まりが目立つ。パチンコ業界は遊技人口の減少で市場縮小が続き、中小・零細ホールは大規模店との遊技客の奪い合いが厳しさを増している。

 さらに、パチンコ、パチスロ機械の高騰に加え、店舗の大型化への投資が難しく、厳しい経営環境に直面している。かつて「30兆円産業」と称されたパチンコ業界だが、2017年の市場規模は19兆5400億円に縮小、大台の20兆円を割り込んだ。度重なる規制強化やレジャーの多様化も追い打ちをかけた。最近のパチンコホールの倒産は2008年の103件をピークに減少をたどっていたが、2017年は前年の2.4倍増の29件に急増した。

 2018年2月、改正風俗営業法の施行規則が適用された。これはパチンコの出玉が現行の3分の2程度に抑えられ、パチスロも同様の規制が加わった。パチンコの遊技人口は1994年の2930万人をピークに減少をたどり、2007年の「5号機問題」や、貸金業法改正などを背景に、2013年(970万人)にはついに1000万人を割り込み、2017年は900万人にとどまった(レジャー白書)。

 2018年1~10月の「パチンコホール」の倒産は、負債10億円以上の大型倒産が2件(前年同期5件)に対し、1億円未満が8件(同6件)、1億円以上5億円未満が7件(同11件)と中小・零細規模の倒産が目立った。形態別では、破産が15件(同10件)に増えたのに対し、再建型の民事再生法はゼロ(同3件)で、経営不振に陥ったパチンコホールの経営立て直しが難しい実態を浮き彫りにした。

 今年7月に「ギャンブル等依存症対策基本法」が成立した。パチンコ業界は、すでに「依存(のめり込み)問題対応ガイドライン」を作成しているが、依存症への取組みは立ち遅れ感が否めない。さらに機械代の高騰や店舗の大型化なども追い打ちをかけ、中小ホールの経営環境は厳しくなっており、縮小する市場の中で生き抜くことが難しく、今後は倒産だけでなく休廃業やM&Aなどの動きにも拍車がかかるとみられている。

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http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20181107_02.html