帝国データバンクがこのほど発表した「人手不足倒産の動向調査」結果によると、2018年度上半期(2018年4~9月)の「人手不足倒産」は76件発生し、負債総額は110億4200万円となった。件数は前年同期比40.7%の大幅増となり、2年連続で前年同期を上回った。調査開始以降、半期ベースの最多を更新し、年度通期で初めて100件を超えた2017年度(114件)を上回るペースで発生している。
債規模別件数にみると、2018年度上半期は「1億円未満」が45件発生と、前年同期(22件)に比べ2倍に増加した。構成比は59.2%と過半を占め、前年同期を18.5ポイント上回った。「1~5億円未満」は27件(構成比35.5%)でこれに続いた。5年半累計でも「1億円未満」(227件、構成比50.8%)が最多と、小規模倒産が過半を占め、「1~5億円未満」(179件、同40.0%)が続いた。
業種別件数をみると、2018年度上半期は「サービス業」が前年同期比73.3%の増加で、最多の26件を占めた。「運輸・通信業」(17件)は半期ベースで初めて二ケタ件数の発生となるなど、7業種中4業種で前年同期を上回った。5年半累計の最多は「建設業」(148件、構成比33.1%)で、「サービス業」が132件(同29.5%)でこれに続き、この2業種で全体の62.6%を占めた。
業種細分類別の5年半の累計件数をみると、「道路貨物運送」が38件(2018年度上半期12件、前年同期4件)で最多。景気回復や通販市場の拡大で配送需要が高まるなか、ドライバー不足による新規受注難から資金繰りの悪化を招き、倒産に至ったケースが目立つ。「老人福祉事業」は、介護福祉士やケアマネジャーなどの有資格者の確保が追い付かず、十分なサービスを提供できないなどの理由から27件(同6件、同3件)発生した。
「木造建築工事」は、職人不足を背景とした外注先の確保難などから26件(2018年度上半期5件、前年同期3件)。「労働者派遣」は、製造スタッフやIT技術者など、派遣人員の不足などから21件(2018年度上半期7件、前年同期2件)となった。このほか上位には、慢性的な現場職人や施工管理者の不足による労務費の上昇が深刻化している建設業の各業種が並んだ。
同調査結果は↓
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p181001.pdf