知っておくと得する不動産所得の必要経費となるもの

 不動産所得とは、土地や建物などの不動産の貸付けや地上権などの不動産に設定されている権利の貸付けなどによる所得をいう。不動産所得の金額は「収入金額-必要経費」で計算する。必要経費となるものは、不動産収入を得るために必要な経費で、(1)水道光熱費等、(2)租税公課、(3)業務用資産の取得に係る借入金の利息、(4)損害保険料などがあるが、原則としてその取扱いは事業所得の必要経費とほぼ同様である。

 租税公課については、必要経費に算入できるものとできないものがある。算入できる租税公課は、(1)業務用資産に係る固定資産税、登録免許税、不動産取得税、事業所税、(2)税込経理方式を採用している場合の消費税等、(3)業務について要した印紙税、(4)業務用車輌に係る自動車取得税等、(5)事業税、がある。一方、算入できないものは、(1)の家事用資産に係るものや所得税・住民税、印紙税の過怠税、延滞税・加算税などがある。

 水道光熱費等については、自宅の水道光熱費等の家事上の経費は必要経費として控除することはできないが、例えば、貸店舗などの賃貸物件について貸主が支出した水道費や電気代、ガス代などの水道光熱費等は、不動産所得の必要経費となる。また、借入金によって業務用資産を取得した場合には、その借入金に係る支払利息のうち、業務開始後の期間に対応する金額については、その年分の必要経費に計上することになる。

 火災保険や地震保険などの業務用資産を保険目的とする損害保険は経費として計上できる。必要経費とするにあたって注意したいのは支払った保険料の「保険期間」だ。保険期間のうち確定申告をする年度の分しか必要経費にならない。ただし、この保険料の計算には特例がある。毎年、同一契約の保険料を1年分前払している場合には、支払った保険料の全額(1年分)を支払った年度の必要経費にできる。

 例えば、2018年10月に、2018年10月から2019年9月までの1年分の保険料12万円を支払った場合、以後毎年同様の支払いを続ける限りは、支払った年度に支払った保険料全額を必要経費にすることができるのだ。一方で、1年を超える保険期間の保険料を支払う場合には、原則どおり、支払った保険料の保険期間のうち、確定申告をする年度の分しか必要経費にできない。