17年新設の一般社団法人は9年連続で過去最多を更新

 東京商工リサーチが発表した「2017年一般社団法人の新設法人調査」結果によると、同年に設立された法人13万1981社のうち、「一般社団法人」は6379社(構成比4.8%)で前年より381社増え、2008年の調査開始以来、9年連続で過去最多を更新した。前年比推移では、2014年の17.2%増から3期連続で増加率はダウンだが、新設法人の中で「一般社団法人」の構成比は年々増加し、20社に1社が「一般社団法人」を選択している。

 これまで「社団法人」は公益性が必須だったが、2008年12月に「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行され、「一般社団法人」に公益性は必須でなくなり、誰でも「一般社団法人」の運営が可能になった。設立の条件が緩和された結果、任意団体や業界団体、社会貢献を目的とした「一般社団法人」の設立が増えている。ただ、利便性が高まった「一般社団法人」を悪用し、「相続税逃れ」が新たな問題に浮上している。

「一般社団法人」は「株式会社」のように株式などの出資がないため代表理事交代で事実上、資産を承継できる。こうした制度を悪用して個人資産を「一般社団法人」に移す「相続税対策」が横行。こうした実態を背景に、2018年度税制で同族経営の「一般社団法人」に相続税を課す仕組みができた。税制の網をかいくぐる「一般社団法人」の旨味がなくなったことから、今後は本来の活用にもどり新設法人数の増加率は鈍化する可能性もある。

 新設法人の「一般社団法人」を産業別にみると、2017年は5産業(前年2産業)が前年より減少し、勢いに陰りが見える。社数は、「サービス業他」が5023社と78.7%を占めてダントツのトップ。次いで、「金融・保険業」が6.9%、情報通信業が6.7%、不動産業が3.9%の順。増加率トップは「運輸業」が前年比48.4%増、次いで「建設業」が30.4%増、「金融・保険業」が23.3%増と続く。下落率は「小売業」の同31.9%減が最大だった。

 業種別では、業界団体や社会貢献などを含む「他のサービス業」が40.0%を占めて最多、次いで、「学術研究、専門・技術サービス業」が21.7%、「医療、福祉事業」が11.3%など。「株式会社」や「合同会社」と異なり、団体設立や研究、医療など特殊な法人に「一般社団法人」が用いられているようだ。「一般社団法人」として設立された業種のうち、100社以上での増加率トップは「金融、保険業の前年比23.3%増だった。

 同調査結果は↓
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20180906_02.html