労務行政研究所が上場企業等440社を対象に実施した「人事労務諸制度の実施状況調査」結果によると、職場のハラスメントによる問題が後を絶たないなか、「セクハラ防止規程」を定めている企業は増加傾向にあり、2018年では69.3%と7割近くに達し、2013年調査(49.5%)から約20ポイント増加した。同様に「パワハラ(モラハラ)防止規程」についても、作成割合は2007年以降急増し、2018年では56.4%と半数を超えている。
また、女性の活躍推進、働き方改革などで近年注目度が高まっている、(1)旧姓使用、(2)在宅勤務制度、(3)フレックスタイム制について調査。「旧姓使用」を認めている割合は上昇傾向にあり、2001年以降の推移をみると、2018年調査では67.5%と過去最高となった。規模にみると、「1000人以上」71.9%、「300~999人」69.6%、「300人未満」62.0%と、規模が大きいほど割合は高くなるものの、広く取り組みが進んでいることが分かる。
「フレックスタイム制」については、今回の働き方改革関連法の成立に伴い、労働基準法の改正によって、清算期間の上限が現行の1ヵ月から3ヵ月に引き上げられるフレックスタイム制の実施率は、若干の増減はあるがほぼ横ばいで推移し、規模計で35.5%となっている。なお、「1000人以上」は52.5%と過半数に達しているが、「999人以下」では3割を下回り、規模による格差が大きくなっている。
育児・介護と仕事の両立支援施策の一つとしても注目度の高い「在宅勤務制度」の実施率は、2004年(1.9%)以降伸びており、2018年は11.8%と初めて1割を超えた。規模別にみると、「1000人以上」では22.3%と2割を超える一方、999人以下では「300~999人」9.4%、「300人未満」4.9%と10%未満となり、大企業を中心に導入されている実情がうかがえる。
少子高齢化が加速するなか、改正高年齢者雇用安定法で、希望者全員を対象とした65歳までの継続雇用措置が義務化され、深刻化する若手人材の獲得難への対応や熟練技能の活用・継承などを目的として、定年年齢を60歳超に引き上げる動きが徐々に広がりをみせている。「61歳以上の定年制」の実施率は12.7%と、前回13年調査から5.2ポイント上昇。61歳以上の定年を定めている場合の定年年齢は、65歳が73.1%で最も多くなっている。