矢野経済研究所が発表した「一般印刷市場に関する調査」結果によると、2016年度の国内一般印刷市場規模(事業者売上高ベース)は3兆5317億2700万円、前年度比1.1%減となった。前年度のマイナンバー制度施行によるDPS(データプリントサービス)(データ処理から印刷、封入封緘、発送まで一連の作業を一括して請け負うサービス)とマイナンバーカード(ICカード)関連における需要拡大の反動により、減少推移となった。
2016年度のマイナンバー需要に関しては、通知案件の消失に加え、収集案件も前年度に比べると受注は減少した。DPSでは、大型のBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)案件の縮小もあった。2017年度の同市場規模は3兆4922億500万円、前年度比1.1%減と再び減少推移となった。これは大きく減少した出版市場の煽りを受けた出版印刷分野と、大型BPO案件縮小の影響を受けたDPSの減少が主な要因となっている。
印刷企業の売上高上位約1500社の売上クラス別の業績推移(単体業績)をみると、2017年1~12月期の税引き後利益額(平均値)は、前期に比べて2大大手(凸版印刷株式会社と大日本印刷株式会社)を除く、全てのクラスで増益。同じく利益率も、2大大手以外では前期より上昇している。しかし、その利益率自体は、準大手クラス以外のクラスでは1%台と低い数値となっており、業界の収益性の低さが表れている。
2018年度も出版印刷分野とDPSの需要減少は続くが、DPSについてはその減少幅は小さくなり、一方、証券関連・カード印刷分野におけるディスクロージャー関連の需要は更に拡大する見通し。また、ここ数年は比較的堅調な推移を見せている商業印刷も引き続き底堅く推移し、2018年度の国内一般印刷市場規模(事業者売上高ベース)は前年度比0.7%減の3兆4680億円と、その減少幅は小幅で推移する見込みとなっている。