日本商工会議所が8月31日に発表した「商工会議所早期景気観測8月調査」の付帯調査「今夏の猛暑による業績への影響に関する調査」結果(全国423の商工会議所が3741社にヒアリング)によると、今夏の猛暑による業績への影響(全業種)は、「プラスの影響がある」は8.0%に過ぎず、「マイナスの影響がある」が82.4%と全体の8割強を占め、「プラスの影響もマイナスの影響もない」が14.7%だった。
具体的なマイナスの影響(複数回答)については「コスト増(冷房・冷蔵設備の高稼働による電気代上昇、熱中症対策によるコスト増等)」が70.4%と最も多く、次いで、「従業員の労働時間の減少(休憩時間の増加等)・労働生産性の悪化」(32.8%)、「製品・サービスの受注・売上減少、客数減少」(28.5%)、「農産物・畜産物等の供給減に伴う価格上昇」(19.6%)、「設備の故障」(19.4%)などが続いた。
また、東日本大震災以降の電力料金の上昇について、経営に「悪影響がある」企業は25.8%と、2017年8月調査と比べ、6.3ポイント増加。「悪影響が懸念される」は48.7%と、5.5ポイント増加した。今後も震災前より高い電力料金が続いた場合の対応(複数回答)については、「既存設備での節電の実施など人件費以外のコスト削減」が51.8%と最多、次いで「省エネ性の高い設備(照明・自家発電設備等)の導入・更新」が41.9%だった。
なお、8月の全産業合計の業況DI(前年同月比、「好転」-「悪化」)は、▲14.8と、前月から+1.9ポイントの改善。ただし、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。建設業や電子部品、産業用機械、自動車関連の堅調な動きが続くほか、インバウンドを含めた夏休みの観光需要が好調に推移。記録的な猛暑に伴い、飲料や夏物商材の需要拡大の一方、客足減少や農産物の生育不良による価格上昇を指摘する声も聞かれた。
先行きは、先行き見通しDIが▲14.4(今月比+0.4ポイント)とほぼ横ばいを見込む。消費の持直しやインバウンドを含む観光需要拡大、生産や設備投資の堅調な推移への期待感がうかがえる。他方、人手不足の影響の深刻化や、燃料費・原材料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁遅れ、米国の保護主義的な関税措置に端を発する貿易摩擦の影響など、世界経済の不透明感を懸念する声も多く、中小企業の業況感はほぼ横ばいで推移する見通し。
同調査結果は↓
https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2018/08/LOBO201808.pdf