創業記念で支給する記念品や永年勤続者の表彰に当たって支給する記念品などは、一定要件を全て満たしていれば、給与として課税しなくてもよいことになっている。それは、(1)支給する記念品が社会一般的にみて記念品としてふさわしいもの、(2)記念品の処分見込みの価額が1万円以下、(2)創業記念のように一定期間ごとに行う行事で支給するものは、おおむね5年以上の間隔で支給するもの、との要件を全て満たす必要がある。  ここで留意したいのは、記念品の価額が1万円以下かどうかは、その記念品の処分見込価額で判定されことだ。それは定価の6割とみられている。この取扱いは通達で明記されているわけではないが、クイズの商品等で源泉徴収の対象となる価額の算定において、その商品の通常の現金正価の60%相当額とされていることに準じたものだ。このため、記念品の価額が1万6666円以下であれば、給与課税されないことになる。  ただし、この金額基準をクリアーしても、「社会通念上記念品としてふさわしいもの」という要件を満たさないと課税対象となる。そもそも記念品として支給する記念品には、現物に換えて支給する金銭は含まれないとされている。したがって、換金性・流通性の高い商品券や素材としての価値が価格の大部分を占める金地金商品などは、記念品としてはふさわしくないことになろう。  一方、永年勤続者に支給する記念品や旅行・劇場への招待費用が給与課税されないためには、(1)その人の勤続年数や地位などに照らして、世間一般で行われている金額以内であること、(2)勤続年数がおおむね10年以上である人を対象とすること、(3)同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていること、の3要件の全てを満たす必要がある。  創業記念などの記念品の要件でも同様だが、3つの要件を1つでも満たしていなければ、原則として、支給した記念品の通常の販売価額や旅行・劇場への招待費用が、給与として課税されることになる。また、これらの費用の負担に代えて、現金や換金性の高い商品券、商品を自由に選択できるカタログギフト等を支給する場合には、その全額が給与として課税されることになるので注意したい。

 国税庁が7日に公表した2017年度租税滞納状況によると、今年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高が1999年度以降19年連続で減少したことが明らかになった。新規発生滞納額は前年度に比べ1.1%減の6155億円と2年連続で減少した上、整理済額が6595億円(前年度比6.1%減)と新規発生滞納額を大きく上回ったため、今年3月末時点での滞納残高も4.9%減の8531億円と19年連続で減少した。

 今年3月までの1年間(2017年度)に発生した新規滞納額は、最も新規滞納発生額の多かった1992年度(1兆8903億円)の約33%まで減少。また、2017年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額(60兆8203億円))は1.0%となり、2004年度以降、14年連続で2%を下回って、国税庁発足以来、最も低い割合となっている。この結果、滞納残高はピークの1998年度(2兆8149億円)の約30%まで減少した。

 税目別にみると、消費税は、新規発生滞納額が前年度比3.3%減の3633億円と2年連続で減少したが、税目別では13年連続で最多、全体の約60%を占める。一方で、整理済額が3706億円と上回ったため、滞納残高は2.3%減の3028億円と、18年連続で減少した。法人税は、新規発生滞納額が同7.0%増の653億円と4年ぶりに増加したが、整理済額が721億円と上回ったため、滞納残高も6.9%減の913億円と10年連続で減少した。

 国税庁は、(1)新規滞納に関しては、全国の国税局(所)に設置している「集中電話催告センター室」での整理、(2)処理の進展が図られない滞納案件については、差押債権取立訴訟や詐害行為取消訴訟といった国が原告となって訴訟を提起して整理、(3)財産を隠ぺいして滞納処分を免れる案件については、国税徴収法の「滞納処分免脱罪」による告発で整理することで、効果的・効率的に処理している。

 近年は景気回復により税収は増えているものの、こうした新規滞納の未然防止、大口・悪質事案や処理困難事案を中心に厳正・的確な滞納整理を実施したことで、今年3月末時点での全税目合計の滞納残高は、前年度を4.9%下回る8531億円となり、19年連続で減少したわけだ。滞納残高は、2015年度に1986年度(8778億円)以来29年ぶりに1兆円を下回ったが、2017年度も引き続き順調に滞納残高を減らしている。

 同租税滞納状況の詳細は↓
http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2018/sozei_taino/sozei_taino.pdf