2017年度給食市場規模は1.6%増の4兆7219億円に

 矢野経済研究所がこのほど発表した「給食市場に関する調査」結果によると、2017年度の国内給食市場規模は、末端売上高ベースで前年度比1.6%増の4兆7219億円となった。事業所向け給食と高齢者向け給食が市場を牽引しており、6分野の市場ごとに微増、微減で推移しながら、2018年度の同市場規模は前年度比1.5%増の4兆7949億円になると予測している。

 2008年以降国内経済の回復は遅れ、産業給食分野が低迷している間に、給食サービス事業者は学校給食や幼稚園・保育所給食に食指を伸ばしてきた。一方、アベノミクスによるリフレーション政策の恩恵から、産業給食分野は回復基調にある。そんな環境変化にもかかわらず、給食サービス事業者は食指を伸ばした学校給食や幼稚園・保育所給食への営業強化を継続している。

 学校給食の民間委託は進み、委託率は増加の一途を辿っている。学校給食施設は設置以来長年経過しており、設備の更新、共同調理場等の建て替えも多く、PFI(公共施設等の設計、建設、維持管理及び運営に、民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行うこと)案件も多くある。給食センターやPFIの受託案件は、契約期間が比較的長く、給食サービス事業者にとり経営が安定するメリットがあるとみている。

 園児数減少等で幼稚園給食市場は微減傾向であるが、父兄は弁当を持たせるより、園側が用意する弁当が便利であることから、幼稚園給食の喫食数は減っていない。また、園内調理に切り替えるところも出ており、給食受託を目指す給食サービス企業にとっても追い風である。かくして、給食サービス事業者は引き続き学校給食、幼稚園・保育所給食に注目しており、契約受託に向けて営業攻勢をかけるようになってきている。

 今後の国内給食市場は微増傾向で推移し、2022年度の給食市場規模は末端売上高ベースで5兆375億円(2017年度比6.7%増)になると予測する。2017年度と2022年度を比較すると、事業所対面給食、在宅配食サービス、高齢者施設給食、学校給食、保育所給食が増加し、事業所弁当給食、病院給食、幼稚園給食が縮小するとの見通しを示している。